「25を過ぎた女は売れ残りのクリスマスケーキ」と世間ではよく言われる。しかしもしそれが定説なら、25歳を過ぎてしまった私は、"年末ムードの中に残されてしまった不要なケーキ"なのだろうか。

◎          ◎

「結婚はしたいか?」と問われたとしたら、どちらかと言えば「YES」なんだと思う。
誰かのために生きてみたいと思ったことがないと言えば嘘になるし、芸能人や職場の誰かの結婚・出産の報告を聞けばなんとなく胸がざわついてしまう。それが同い年や年下なら尚更。
しかし、それと同時に心のどこかで「今世では無理だろうな」という諦めに似た感情も生まれてくるのがなんとも厄介で。
結果的に気持ちを押し込めなくちゃいけないから、「してみたいけど多分無理だな」という感情ほど苦しいものはないなと思う。
私にとって結婚は、ダイエットと並ぶくらい「来世で頑張ろうと思うもの」のひとつだ。

しかし、質問を少し変えて「今すぐ結婚したいか?」と聞かれたとするなら、それは必ずしも「YES」とは限らない。
1人が楽しくないわけでもないのが25歳を過ぎた女の良いところであり悪いところで。
小さい頃からよく迷子になるくらい単独行動が好きだった。
趣味も1人で完結するようなものばかりだった。
そんな子供がそのまま大人になり、どんどん単独行動の幅を広げていった結果、ファミレスもカラオケも映画も、博物館に美術館にライブに至るまで。全部1人で楽しめるようになってしまった。
場合によってはむしろ1人の方が良いと思うことも多々あるし、これを心地良いと感じる自分もいる。

◎          ◎

そして、私には人生を通して叶えたい夢がある。
その夢は「脳みそをシワシワにして死にたい」というものだ。
タモリさんはもちろん、山田五郎さんやみうらじゅんさんのような博識でユーモア溢れる人に私はとても憧れている。
あの人たちのように沢山のことを知って、それを面白おかしく話せるようなユーモアが欲しい。そして、それを冥土の土産にしたいというのが私の夢だ。
世の中は興味の惹かれるものばかり。知りたいことも数多ある。
その欲求を満たす為には、映像作品を見たり本を読んだりなど多くのインプットが必要だ。いくら時間があっても足りない。だから例え結婚したとしても結局相手に割く時間の余裕がない私は、多分結婚に向いていないんだと思う。
つまり、今の私の状態は「単独行動大好きなくせに結婚をしたいと思っている」という「このまま冷凍庫で過ごしてもいいなと思いつつも、実は売れるのを待っているケーキ」のような矛盾が生じてしまっている。

また質問を変える。「では、結婚していない今は幸せではないのか?」と聞かれたとしたならば。それは「NO」だ。
確かに結婚していないけど、不要なケーキかもしれないけど、なんだかんだ毎日楽しく過ごしている。
やり甲斐のある仕事に就けているし、趣味も充実している。上記に書いた通りの夢もある。こんなに幸せなことはない。
「結婚したい」いう気持ちと「結婚=幸せではない」という気持ち。そのどちらの尊さも分かるのは、きっと"年末ムードの中に残されてしまった不要なケーキ"だからなんだと思う。

◎          ◎

最初の質問に戻る。「結婚はしたいか?」という問いにはとりあえず今は変わらず「YES」と答えよう。
でもそれが今とは限らないし、もしかしたらこのまま完全に諦めがついて「NO」と答えるようになるかもしれない。
いつか「結婚したい」「選ばれたい」と思えるような相手が現れるのかもしれない。おとぎ話で言う、"白馬の王子様"が。

その頃には年末どころか新年になってるかもしれないけど、それならそれで新年のお祝いケーキにすればいい。
結婚しなかったとしても、自分で自分をデコレーションして幸せにしてあげれば良い。自分の幸せを他人に任せない。

そんな心持ちで毎日を生きていけたなら、それはきっと結婚するしないよりも大切で何にも変え難い1番の幸せだ。