一昔前より美容整形はより身近なものになってきていると感じる。そして、美容整形といえば一重や奥二重を二重にする、もしくは二重幅を広げることがメインの整形が一般的だったが、最近は様々な美容整形が溢れている。
ハイフであったりボトックスやヒアルロン酸の注入など。少し前までは美容整形は、セレブや芸能人だけがやるものだという認識を持っていたが、「今度のお休みに韓国で施術を受けてくるわ」といった風に友人との日常会話の話題で飛び出すようになった。
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広告を頻繁に見かけるようになったことも大きいかもしれない。月々いくらというお手軽さに、私も施術を受けた方がいいかなという気持ちになったこともある。
そしてどこまでが美容整形でどこまでが異様な範疇なのか線引きも最近になって曖昧になってきたように思う。
例えば唇や眉毛のアートメイクであったり、まつげ美容液やマツエクなども、定期的にメンテは必要であるが整形級に印象が変わる。
脱毛や歯科矯正も整形と同じくらい、もしくはそれ以上にお金をかけるし、見た目の印象が変わる。
「葵も整形しないの?」と聞かれたことがある。 まだ整形が今ほどカジュアルではなかった私が高校生の頃の話だ。
その聞いてきた人は元から二重だったのだが、理想の二重を目指して整形をした。そのデキに満足して、私に勧めてくれたのだろう。
今でこそ整形が身近になり気軽に受けられるイメージを抱いているがその当時は、自分が施術を受けるなんてとんでもないと思った。
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もちろんお金も安いものではなかったし、お小遣い制だった高校生の私に払えるものではないってことは分かっていた。
それに親が絶対に反対するとわかっていた。
私自身も、古風な考え方かもしれないが、親にもらった体にメスを入れることに抵抗があった。
二重の埋没法はメスは入れないかもしれないが、アイプチやアイテープとはまた違う覚悟が必要だと思っている。
高校生の頃は可愛い友人たちを前にすると自分の顔はコンプレックスの塊だと思っていた 。だから素直に絶対しないと言い切れなかった自分がいた。
整形失敗した話も聞くのでもちろん整形しなければ良かったと後悔するのはもちろん怖い。
しかし、私がより恐れていることは整形依存になってしまうことだ。
顔のパーツでもどこかを整形すればバランスを取るためであったり、もっとこうだったら可愛くなれるのにとどんどん欲が出てきたりして、整形を重ねてしまうと思う。
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最近まで高校生の時に抱いた整形への抵抗はお金の心配や、失敗や依存症への恐怖だと思っていたのだ。
しかし根幹には別の思いがあることに気づいた。
別の私は自分に自信がなかった期間が長いので、仮に顔の整形をして、理想の顔を手に入れたとしても、周りの人を騙している気分になるのではないかと思った。
ありのままの自分を受け入れてくれることを願うことは美談かもしれないが、たとえ素敵なご縁に恵まれたとしても、嘘をついているような気分になったり、本当の自分がバレたら別れを告げられてしまうのではないかと、ビクビクすると思ったのだ。
もちろん整形をして自分に自信を持つという考え方もあると思うが、私は後ろめたさが、勝ってしまうと思った。
今後、もしかしたら私は顔にメスを入れるかもしれない。
でもまずは両親にもらった顔や体で、素材薬をいかに上手く生かすかを考えていきたい。
そうすることで高校生の時、整形をしたいと言わなかった自分に対して矜持を持つことに繋がると考えている。