私はこれまで逃げないことを信条としてきた。
体育会系の人間なので、逃げずに耐えることで得られるものがあると信じて、それを実行してきた。

この方法が良いかどうかは置いておいて、辛い状況を耐え忍ぶことで、明るい未来が待っていると自分に言い聞かせてきた。

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逃げは甘えだと考えてしまう。
この考えは自分を追い込むし、時として非常に辛い。
そして何よりも気をつけなければいけないのは、この考えを他人にも強制することだ。
人によって許容できるストレスやその時の体調が違うのだから、逃げないことを是とする考えは自分にだけ課すようにしてきた。

そんな私にも逃げることで 結果的には良かったな と思える出来事があった。

コロナ禍の最初は100%在宅勤務の期間があった。
それまで全く在宅勤務したことがなかったので、リズムを掴むのが大変だった。
他の人の働いている状況が分からないし、在宅勤務の環境も十分に整えられていなかった。なにより一人暮らしは孤独だった。

二週間経って、改善するどころか辛くなる一方だったので、上司に実家で働きたい旨を相談してみた。
一人で急に出社になっても問題ない距離だということも考慮されて、実家で在宅勤務する許可が出た。

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実家では仕事にも集中できたし、孤独を感じることは全くなかった。

在宅勤務の期間は人に会わずに一人で乗り切ることが前提かと思っていたが、実家に帰ることで、必要以上に自分の心を疲弊させずに済んだと考えている。
家賃のことや防犯に対しては不安があったが、これに関しても近くに住む同僚に助けてもらったお陰で問題なかった。

最近は2年前に比べると 出社の頻度が増えた。 上司は在宅勤務も適宜取り入れて問題ないと言っているが、どうしても出社しなければならない日もあり、 ほとんど毎日出社を続けてきた。
深夜残業手前の時間まで毎日働く生活をしていると、水曜日あたりに気力の限界が来る。

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ある日の水曜日、上司に疲れたと言ってみた。この時は次の日も頑張って出社をするつもりであったのだが、上司からは「自分のベストのコンディションで働ける選択をすれば良い」という言葉が返ってきた。

私は他のチームメンバーが出社する中、自分だけ在宅をすることに罪悪感を感じ、これは逃げだと思っていた。
しかし、無理をして出社してもしんどそうに働いているだろうし、私自身仕事の効率が落ちるだろうと思った。

この時は上司の言葉に甘え在宅勤務をしたのだが、かなり体力と気力が削られていたので、出社時間を睡眠に当て、体力の温存できたので、在宅勤務を選択して良かったと思った。

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今回は気力と体力が保たないことを上司に共有した結果、在宅勤務の許可が出てハッピーな結果に繋がった。
他の仕事ではどうだろうと考えたときに、まずは自分一人でどうにか解決して、穏便に収めたいと思ってしまう。
しかし、やはり上司に相談なしで自分一人の考えだと経験不足やアイデア不足により、解決が遅れることに繋がる。

課題や苦しみを共有することで、「一人じゃない」と思え、気持ちが楽になるのだ。
私が一人で戦うことにストレスを感じるからかもしれないが、状況の共有をするだけでも随分と気持ちに余裕が生まれる。

だからと言って逃げの選択ばかりしていると信頼感を失うことにつながると思うので、常に自分のできることを精一杯やり、信頼感を得続けることが重要だ。
そういった意味でも常にベストコンディションを保ってるように逃げではなく自分を守りつつ、常にベストな状態でいられるように コントロールできるようになりたい。