昨年、二十歳を迎えてお酒を飲める年齢になった。そんなデビューを彩ったお酒は、誕生日に飲んだレモンチェロだ。それ以来、あまりお酒を飲む機会がない私にとって、あまり身近なものではない。

どちらかというと、まだお酒には恐れてしまう自分がいる。成人式の二次会や高校時代の同窓会などの飲み会は苦手意識があって、お誘いの連絡があっても断るタイプな一方で、お酒を飲みながら誰かとコミュニケーションをとって距離を縮めるのも悪くはないと思う。

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高校三年生の頃にコロナ禍に突入し、「大学生になったら合コンに行きまくる」というクラスメイトの勢いも薄れていってしまった。もちろん私も、高校を出たら友達と合コンに行くのが、必ず学生生活の一ページに刻まれるものだと思っていた。それが「ごく普通」だと思い込んでいたからこそ、お酒が常に手元にあってもおかしくない20代を過ごすのが理想なのかもしれないと信じていた。

よく恋愛ドラマで、同窓会で再会した男女が酔いつぶれたまま「好きだった。」と言ってキスするシーンに憧れていた頃もあった。もし、そこにお酒がなかったら恋愛に発展していないのかなと想像しただけでドクンドクンっと胸の高まりを感じた。お酒は、人の心の奥にある素顔をさらけ出してしまう、魅惑的な存在でもあると知った瞬間でもあった。特に夏はビアガーデンなど、お酒を飲む機会が多いし普段会えない人との「再会」に惹きつけられる場面が多い。非日常な気分でいたいとき、きっとお酒が最高な雰囲気を醸し出してくれるはずだ。

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たとえば、お酒を飲みながらプロポーズすれば緊張が解け、ありのままの自分で挑むことができるかもしれない。そう思うと、やっぱりお酒は人と人の間にある高くかたい壁をぶちこわし、距離感をなくしてほしいときに、なくてはならないものだ。

こうしてお酒との距離感を見ていくと、日常の幸せも早く忘れたいイヤな出来事も全部優しく包み込んでくれるお酒に対して、二十歳でデビューしてからもっと気軽に解禁してもいいのだと思えてきた。

高校の卒業式が終わって最後のホームルームで卒業証書を貰ったとき、3-Eの中心的存在だった子が、皆に約束するかのように話していた。「10年後に集まって、飲もう。」そのときは正直、卒業してから集まるのって面倒だなあって思っていた。だけど思ったより、「今は将来のために自分の成績を知って、勉強したほうがいい」と親切なアドバイスをくれる先生がいない大学での勉学は、何をするにしても自己管理が求められることが多い。それを続けていくことってハードだなあと感じることもあるし、「高校時代に戻りたい」ちょっと思ったりもする。

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同窓会は、懐かしいクラスメイトと再会してワイワイ騒ぎながら一瞬だけ当時の自分に戻れるチャンスなのかもしれない。それで、また頑張ろうって思えたらいい。お酒の力を頼って、あのとき言えなかったこと、実はこう思っていたと伝えるだけで、一皮むける。

人として一歩成長することで、前へ進めるきっかけになれば、お酒を飲んで発散するのも、たまには良い。そうしていくうちに、お酒が身近になって「そうだ、今日は飲もう。」と気軽に思えてくるのだろう。大人にしかわからない悩みがあるように、大人にしか味わうことのできないお酒があって、それを全力で楽しむことも一つの夢である。少しずつ、大人の仲間入りというものを体験していきたいものだ。

今まで出会ったことのない、自分とは全く違う性格の持ち主と出会うように、お酒を飲むことで今まで知らなかった世界とめぐり逢えることを期待したい。