憧れ、の本当の意味を知ったのは高校2年生の頃だったと記憶している。

憧れの意味はもちろん、ずっと前から知っていたけれど、それまで好きな芸能人やお世話になっている人やだいすきな母親に対し、特別な感情のようなものはあったものの、憧れ、とはまた違っていたように思う。

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高校2年生の時に一目惚れしてから今もずっと、好きで憧れで、これから先もお手本として崇めていたい人物、Mちゃん。

名前を伏せることに大きな理由はないけれど、なんとなく、ロールモデルをはっきりと伝えるのは恥ずかしいためイニシャルでお願いしたい。

Mちゃんは、アイドルグループの一人。
人数の多いアイドルグループで、決して前にいるような女の子ではなく、彼女自身も是が非でも前に前にという人ではなかった。
積極的にメディアに露出もしないし、ブログやファンとのコミュニケーションの場でも「私、頑張ってます。私を好きになってね。ファンのみんながだいすき」みたいなタイプでもなく、ゆるく言葉を綴り、適当というと悪い言葉のようだけど、適当に接していた印象がある。

でも、それが彼女の最大の魅力だな、と私はずっと感じている。

前に前にではないものの、それでも、光り輝いていたのだろうか。
私からしたら、テレビに映ったMちゃんはどのメンバーよりもいつも一番に見つけられたし、髪型やメイクの些細な変化もすぐに気づいていた。
そのアイドルグループが好きというよりは、Mちゃんのいるグループだから好きで、恋焦がれていた。

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正直、いつ、どこで、どうやって、一目惚れをしたのかは覚えていない。
ただ、気づいたら、目で追っていて、気づいたら、彼女の名前を検索することが増えた。

可愛らしい見た目、艶々な長い髪の毛、唯一無二の癒し声、グループのメンバーからもスタッフからもファンからも愛される、可愛い可愛い女の子。

でも、意外と、さっぱりとした性格で群れたりしない、強い一面もある。
私は私、を貫いているようにも見えた。
そんなところが全部好きで、私もMちゃんみたいな人になりたい、と強く思っていた。

先輩に可愛がられ、後輩には緊張感を与えないほど優しく接していて、そのフランクさは、見ていて羨ましく微笑ましい。
Mちゃんの魅力を語りだすと止まらない。

今まで、女優やアイドル、アーティスト、なんでもの方々に対して、可愛い、綺麗と思うことはたくさんあった。
でも、この人みたいになりたい、と思うことはなかった。

私はどんな性格なんだろう、どんな人間になりたいんだろう、自分に問いかけていたとき、真っ先に思いつくのがMちゃんだった。

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ああ、私はMちゃんみたいになりたいんだ。
可愛いってみんなから愛されて、でも愛されることに胡座をかかず、努力で可愛いを作り出し、でもその努力を見せない。
ゆるい雰囲気で、周りの人に優しく、いつもニコニコする。
でも、一番の優先は自分で、いい意味で人に流されない。
ちゃんと自分を守る。それを、強がっている、感じ悪い、と思わせない優しい雰囲気。

ああ、こうなりたいなあ。なれるかなあ。

初めて、この人みたいになりたい、と思わせてくれたMちゃんには感謝しかない。

今はもう、アイドルを引退し、芸能界を去ってしまったMちゃん。
悲しいし、寂しいし、また姿を見たいと思うけれど、それよりも元気で健やかに、あの可愛らしさ健在でどこかで楽しく生きていてくれてたらいいな、と心から願う。

そう思わせてくれてありがとう。

今はまだ、Mちゃんの足元にも及ばないけれど、いつかMちゃんみたいな優しく可愛い女の子になりたいと努力をし続ける。