私は、成人式の前撮りの時に、初めて、大人になったなと実感した。今まで、髪の毛を上げて髪飾りをつけることがなかったから、普段とは違う自分にソワソワした感覚になっていた。
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6つ上の姉が成人式を迎えるのに、写真館で前撮りをするのについて行った。姉が撮影しているのを見た時に、「私も成人になったら撮るのかあ」とじっと見ていた。姉の姿を見て、「私も早く成人になりたい」といった気持ちになれず、普段と違う格好になることに対して後ろ向きな気持ちでいたことを覚えている。
小学生の頃から、髪の毛を結ぶことが嫌だった。幼稚園の頃、私は髪の毛がとても長かった。腰ぐらいまである髪の毛を、いつも母が一つ結びにしてくれていたのが当たり前のことだった。ある時、私が髪の毛を切りたいといったので、母が私の髪の毛を切ったら、肩に付かないほどバッサリ切ってしまったのだ。それ以来、髪の毛を結ぶのに抵抗を感じるようになった。
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小学校6年生になり、運動会で組体操をやるから、皆肩の上に足を乗せたりして髪の毛が邪魔にならないように、髪の毛を結ぶ必要があった。先生に、「これで髪の毛を結びなさい」と言われ、ゴムを渡されるので、いつも嫌で、髪の毛を服の中に入れて拒んでいた、結局髪の毛をバッサリ切ったほどだ。
なぜ髪の毛を結ぶのが嫌なのか、いつも結んでいたのが当たり前だったが一度切ってしまうと、髪の毛を結ぶことに恥ずかしさを感じる。この感覚は幼い頃は敏感だったのだ。
23歳になって、髪の毛を自分から上げるきっかけがふとやってきた。おばあちゃんの家に遊びに行った時、夏の暑い日だったから髪の毛を下ろすとほんとうに暑くて外にずっといられない状態だった。雑貨屋さんを通りかかったとき、一目見て可愛いバレッタがあった。これを見て「これがあれば、簡単に髪の毛を束ねられるし楽だ」と、その場ですぐに購入した。いつも、母が身につけているので、身近に感じていたアイテムだった。
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一昔前まで抵抗を感じていたことが、時間が経つと何とも思わなくなることがあるのだなと思った。私は、たぶん人より少し、「見られている意識」が強い、世間でよく言われる「自意識過剰」なのかもしれない。外に目を向けて、「もし自分の見た目に変化があっても、自分が思うほど他の人はそれを過剰に気にしない」と思うようになり、少しさみしい気もするが、確かに、自分がコンプレックスだと思うものが、相手にとっては「それは気にする部分では全然ない」という意見がでることもある。自分で、自分を満足させることができれば、それで良いのだ。少しずつ自分の考え方が変わったことで、変化することに一歩踏み出せたのかもしれない。
今日、数ヶ月ぶりに美容院は出かけた。茶色に染めていた髪の毛がだんだん伸びてきて黒い髪が目立つようになったので、「よし、髪の毛を染めに行こう」と決め、傷んだ髪の毛を切ってもらった。明日からちょっぴり違う、新しい自分のスタートだ。自分自身の変化が周りに少しでも良い影響を与えられるなら、とても嬉しいことだと思う。自分の変化を楽しんで、過ごしていきたいと思う。