コロナで変わったこと、変わった環境はたくさんあるけれど、コロナでも変わらなかったこと、それはまさに、「人との心の繋がり」だった。

◎          ◎

多くの人が、ステイホームで外出や人と会うことを控えている中でも、私は「人との繋がりは、途絶えないようにしよう…」と、大切な人と連絡を取り合うことに必死だった。

『会わないことで、話さないことで、その人との心の距離感まで遠ざかってしまうような…』
今思うと、私自身そんな錯覚に陥ってしまっていたのかもしれない。
「人」が大好きな私は、男女関係なく気の合う仲間とだけは定期的に連絡を取り合い、予定が合う日があれば遊んでいた。

独りで過ごす時間も大切だし嫌いではないけれど、私にはその時間を仲間と共有することの方が、もっともっと濃くて有意義な時間を過ごせると思っていた。
コロナが流行って何もかも環境が変わっても、私のその考え方は、唯一変わらなかったのだ。

◎          ◎

「次の休み、会えるかな…」
気付くと友達にそう連絡を取るのが日課になっていた。
会社も出勤から無期限のリモートとなり、人と直接関わる場面がグンと減った。

毎日、自宅でパソコンと向き合う時間が、私にとってとてつもなく苦痛となった。
通勤時間が無い分、楽ではあったのだが、その分も仕事の時間になってしまっていた。
残業代も付かないのに、労働時間だけが永遠と伸びていく。
自分が何のためにこの仕事をしているのか、ふと気づくと働く意味や価値が見出せなくなった。

「私は、人との出会いや繋がりを大切にする!」というモットーがあるものの、今やっていることは、むしろこの信念から遠ざかっているのではないか…と。
友達に相談したり、上司に相談したりして吹っ切れたある日、私は大好きなベンチャー企業を辞めることを遂に決意した。

◎          ◎

辞めることを会社に伝えるのも、とても心苦しかった。
大好きな同期も、先輩方も、社長も、その会社の方針や事業が好きではあったから余計に去るのが名残惜しかったのだ。
それでも、人と直接関わる機会が多い、接客業にまた戻りたいという気持ちや意志のほうが強かった。

次の具体的な行き先も決まらないまま、勤めていたベンチャー企業を勢いで辞めた。
そうして始まった、私にとって2度目の転職活動。
特別な資格も何もないまま、行き当たりばったりでチャンスをくれた前職だったから、正直、一から接客業の仕事に就くことは不安しかなかった。
コロナ禍ということもあり、接客業の求人を自力で見つけることすら、私にはハードルが高かった。

◎          ◎

そんな挫けそうな時も、『人との出会いや繋がりを大切にする!』ことだけは、いつも自分自身を見失わないために、強く自分に言い聞かせた。
コロナで変わってしまった仕事環境や身の回りの環境、それでも自分のモットーだけは、どんなにコロナが威力を振るっても唯一変わらなかった。

だからこそ、コロナが終息した今、再び新たな地での接客業の再就活に奮闘する体力がついた。
それは、いつまでも変わらない、『人との出会いや繋がり』を大切にしたいという強い意志があり続けるからだ。