27歳になった今でも、はじめてお酒をのんだ日のことを鮮明に覚えている。

友人に勧められて口にした、『スクリュードライバー(ウォッカのオレンジジュース割り)』。これがお酒?と信じられないくらいに、ジュースみたいで飲みやすかった。
お酒がのめる時が来るのを楽しみにしていたのに、“大したことないな”、と少しのガッカリ感。それでも種類の多さが嬉しくて、色々な種類のカクテルを試してみた。
周りが酔っていくのを見て感じたのは、“もしかして私ってお酒に強いのでは??”

そして頼んだのが、忘れもしない『ラズベリーカミカゼ(ウォッカにコアントローを加え、ラズベリー風味にしたもの)』。運ばれてきたのは今までのものより小さいグラス。
“一瞬でのみ終わるな”とのんきに考えていた。ぐいっとのんだ瞬間、頭がクラクラとした。
ぼんやりとした意識の中で、“酔うってこんな感覚なんだなぁ”と実感した瞬間だった。

今なら分かる。
度数が強いお酒だから小さいグラスで出てきたし、カミカゼはお酒をお酒で割った強めのお酒なのだっていうこと。一気にのむようなモノでもない。
こうして私は、強烈なお酒デビューを果たした。

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周りに心配されながらも1時間程度で回復して、再びお酒をのめた私は、やっぱりお酒に強かったらしい。お酒をのむ機会を重ねることで、ペース配分を覚えたのか、お酒に慣れたのか、酔っ払うということがあまりなくなった。
お酒強いね、と褒められて嬉しい気持ちと、“どうせお酒をのむなら酔っ払いたい”、という気持ちが交差した。
飲み放題があるお店を選ぶし、缶のお酒はストロング缶を選ぶ。そうしないとお金がいくらかかるか怖いから。無理なのみ方をしないと酔っ払えない。
1、2杯でほろ酔いになれる子を見て、“かわいいな、いいな”と思うこともあった。

“嗜む程度がちょうどいい”
“おいしいお酒とご飯の組み合わせが最高”
そう思えるようになったのはつい最近のこと。
お酒とのちょうど良い距離感がようやく分かり始めたのだと思う。

心のどこかで、
“お酒は大人になった証だから、のんで酔いたい”
“のんでも酔わないのだったらソフトドリンクを飲むのと一緒”
“酔わないのだったらお酒をのむ意味がない”、
そんな気持ちを持っていた。
でも、違うと気づいた。
お酒の種類や味によって、ご飯の美味しさを引き立たせてくれる。
誰かと一緒にお酒をのむことによって、場がほぐれるのを助けてくれる。

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これからも私は大好きなお酒と付き合い続けるだろう。
ほどよい距離感で。
旅先でその地のお酒を楽しんだり、誰かと打ち解けるためのツールとして使ったり。
頑張ったあとのご褒美としての1杯もいい。
昔からの友人と思い出話に花を咲かせるお供になることもあるかもしれない。

お酒はのんでものまれるな、という言葉があるように、上手に付き合えるようになってこそ、大人になったということなのだと思う。今はまだ、たまに無理をしたのみ方をしてしまうこともあるけれど、着実に上手な付き合い方を出来るようになっている。

はじめてお酒をのんだ日の自分に伝えてあげたい。
“これから上手にお酒と付き合っていけたら、人生を彩る素敵なツールになるよ”と。