あまり着ないけど大切な服はいくつかある。
毎回、衣替えの時期になると、そのあまり着ない服を断捨離しようか迷う。
それでも、大切な思い出が詰まっているから捨てようにも捨てられない。
あの時、あの場所で、あの人と居た時に、着ていたからこそ、思い出深い服となる。
わりと長い間、私の服の好みは変わっていない。
良い意味で流行りに流されず、自分の「好き」の軸を大切にしている証拠かもしれない。
を取るにれて、もう少し大人っぽいエレガントな服が似合ったらなぁ…と思いつつも。
これが私のスタイルなのかも…と、すっかり変わらず落ち着いてしまった。

◎          ◎

そのあまり着ないけど大切な服の中で、私の一番のお気に入りは、世界地図が描かれたサマードレスだ。
シンプルだけど、大人シックで、いい所のレストランに行くときに着たくなるような派手さがある。
これは、当時付き合っていた彼が、私の誕生日にプレゼントしてくれたのだ。
ある休日、二人でショッピングに行った時に、そのドレスと出逢った。
私はそのカラフルなドレスに一目惚れして、買おうか真剣に悩んだ。
いつも服を買う時は直感で、欲しい!!と思う服に出逢った時だけ買う私だったから、そのドレスもそんな感じの直感で出逢った。
だが、今の私には着ていく場所がないかなぁ…と、当時の自分は手に入れることを諦めた。
それでも、家に帰るとそのドレスを買わなかったことを深く後悔する自分がいた。
彼も私のその姿を見て、なんだかガッカリしているようだった。

◎          ◎

そんなことも忘れかけていた1ヶ月後の私の誕生日に、そのサマードレスと再会した。
彼から手渡されたプレゼントを開けて、手紙が添えられたドレスを両手に広げた。
嬉しさのあまり自分の肩に合わせて、鏡を覗くと、私は一回転し満面の笑みで溢れていた。
旅行が好きで、その趣味で出会った私たち。
「これからも一緒に色んな景色を見て、色んな想い出を作ろうね!」と、綴られていた手紙。
まさに、「私たちらしさ」が詰まった、サマードレスだった。
そんな彼と別れた後もずーっと、どうしてもそのドレスが捨てられなかった。
どこへ引っ越す時も、そのドレスをスーツケースに詰めていた。

◎          ◎

今の旦那と去年結婚する時、私は久しぶりにそのドレスを引っ張り出して着た。
色々な想い出や感情が詰まったドレスだけど、その過去も含めて今の旦那との出会いもあった。
旦那にはこの過去は伝えていないけれど、彼もこのドレスを気に入ってくれている。
私だけさえ覚えていれば良い過去、そのドレスとの思い出。
この先もそれを胸に、たとえこのドレスに穴が開いたとしても、私は捨てることが出来ないであろう。
新しい思い出も詰まりつつある、あまり着ないサマードレス。
普段はクローゼットに眠っているが、「ここ1番!」という時にしっかり今も役目を果たしてくれる。
そんなドレスをこれからも、大切な節目の時に、着続けていきたいと強く思う。
私のカラフルなトラベルテーマのサマードレスは、これからも時を旅するドレスなのだ。