「コロナ禍」「ニューノーマルな社会」
そんな言葉がニュースで飛び交った2020年。当時の私は20代前半だった。

そんな中、周りの人への頼り方を「知らない」私はとある女の子に教えてもらった「パパ活」というものに手を出し、若くて貴重な時間を父親くらいの年齢の男性たち(以下、おぢ)に売っていた。

◎          ◎

「コロナ禍」「ニューノーマルな社会」と称された昨今の状況を振り返って分かったことは、周りの人への頼り方を「分かっている」子と「知らない」子の分断。

心身共に健康に恵まれ、職場も安定していない限り、私のように周りの人への頼り方を「知らない」子たちはおぢに簡単に時間を売る以外、生きるための必要最低限のお金が保障されなかった。

周りの人への頼り方を「分かっている」子たちは、周りの人への頼り方を教えてくれる人がいてアウトプットをできる環境が整っていた結果、周りの人に頼ることができるのだと私は考える。

それに対して周りの人への頼り方を「知らない」私たちは頼り方を教えてくれる人が居なかったため、頼り方をインプットをする機会がなかったのだと自身の経験からそう思う。

◎          ◎

エッセイでも度々話しているのだが、幼少期に私の母は育児ノイローゼとメニエールの持病持ちでワンオペ育児。
小学校に上がるまでの間に「お母さんって呼ばないで!」と泣きながら家を飛び出す母の後を、裸足で追いかけたことは幾度もあった。

小学生の頃に買い与えられた分度器とコンパスは赤い100均のもの。安かろう悪かろうで分度器のメモリはすぐに消えてしまうし、コンパスのネジはゆるゆる。

田舎の小学校ではみんな同じ青色の分度器とコンパスだったため、「こんな100均の持ってくるけん〜」と担任の先生にバカにされて、授業中に笑われたことさえあった。

妹にはそんな思いをさせたくなくて、小学生ながら貯めたお年玉を崩して、私は青色の分度器とコンパスをホームセンターに買いに行ったことすらある。

周りの人への頼り方をこれまで知らずに来てしまったから、そんな悪い意味で「物怖じしない」「ひとりで何でもする」一匹狼な性格が形成されたのかもしれない。

◎          ◎

ずっと孤独感を抱えていた生活の中で、さらに孤独感を増幅させたコロナ禍。
だからこそSNSを通じて、周りの人への頼り方を「知らない」パパ活女子同士の繋がりができたのだ。

新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下がった今、私たちは周りの人への頼り方を「分かっている」フリをする必要が出てきた。

以前エッセイで登場した「ホス狂ちゃん」(ホスト狂いの子と描く40歳のロールモデル。寿命が延びた気がした)は、私にパパ活を教えてくれた張本人。
彼女は関西の田舎育ちで、父親はすぐに手を挙げる人だったそう。

その父親は「娘に学をつけさせたくない」と言い、聡明だったにも関わらず専門学校に進学することを余儀なくされた「ホス狂ちゃん」は、早く独り立ちをするために「パパ活」に手を出したそうだ。

ツイッター(現・X)を介して知り合った私たちは、パパ活を辞めてからも定期的に連絡を取り合っていた。

◎          ◎

新型コロナウイルスが「5類」に引き下がった2023年5月。
「ホス狂ちゃん」から1通の連絡が来た。
“彼氏出来たからまたその話させて笑”
「ホス狂ちゃん」も私も周りの人への頼り方を「分かっている」フリをしないことには、この先も孤独なままだということに気づき始めていた。

彼氏という信頼できそうな人を見つけて、一歩踏み出そうとしている「ホス狂ちゃん」。
周りの人への頼り方を「分かっている」フリをしながら、あらゆるコミュニティに溶け込もうと必死な私。

20代後半になった今、本当の意味で周りの人への頼り方を知るステップを踏まなければ、孤独感から抜け出せないこと。

それが生きるための重圧になっていることをコロナ禍を通して知ることができたけど。

誰か、周りの人への頼り方を教えてくれませんか?