今年、念願かなって私は韓国旅行へ行った。旅行というか、彼氏が韓国に住んでいるので会いに行った。コロナ禍で、実に3年ぶりであった。そして、私は韓国から帰れなくなった。
正直、誰にでも起こりうる話ではあるのだが、まさか自分に起こるなんて、と思わずにはいられなかった。

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期間は3泊4日。帰りは16時すぎのフライトで空港には13:45くらいに着いていた。
その時点でお昼を食べていなかったので、チェックインを済ませた後に食事をして、気づけば15時すぎだったので保安検査場に向かった。

本来なら、検査場を通ってから食事をする方がいいのだが、そうすると彼氏と別れるのが早くなってしまうので、検査場を通る前に一緒に食事をした。
保安検査場はどこも混んでいた。電光掲示板を見て、一番空いている所に並んだ。25分の待ち時間だった。

搭乗券には搭乗時刻が15:35と書かれており、余裕はないがこの待ち時間ならば間に合うだろうと思っていた。だが、実際は食事をしていた時点で運命は決まっていた。
彼氏に手を振ってから列に並んだはいいが、全然列が進まない。牛歩どころではなかった。
検査場は第一段階としてスタッフの人にパスポートを見せて中へ入る所があり、そこを通って中へ進むと所持品やボディチェックの所がある。

やっとのことで第一段階の所まで列が進んだ時点で既に15:45を過ぎていた。スタッフの人にこのままだと時間がまずいというようなことを話した。どこかに電話をしてくれて、中へ入ったはいいが、そこもまた長蛇の列だった。

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挙句の果てに、スタッフの人には、ソーリーと言いながら人を抜かして進んで、と言われて終わりであった。
パッと見て50人は並んでいる。かといって、列を抜かして進めるほどの図々しさは私にはなかった。結局そのままフライトには間に合わなかった。所持品の検査を終えた時点でフライトから5分ほど過ぎており、定刻で出発をしたと言われた。

結局、彼氏が色々と手伝ってくれてその日は韓国に泊まり、翌日のフライトで帰国をした。
その時に、私は彼氏の優しさを感じた。前から優しいとは思っていたが、人の本性というのはこういう非常事態において見えてくるものだからだ。普段は分からない。
フライトを逃した私にどう接するのか、ある意味本当の性格がわかると思った。
今思えば、フライトを逃しておいてそんなことを考えるなんて呑気な気もするが、彼氏はいつもと変わらない態度だった。

どうするのが一番良いのか一緒に考えてくれ、私がフライトを探す間、その日泊まるホテルを空港の近くで探してくれた。韓国語がそこまで出来ない私の代わりに、航空会社の人に話をして預けた荷物の受け取りのことも相談してくれた。
そのトラブルでほぼ半日が潰れたが、いらいらすることもなく一緒にいてくれた。
良い人だなと思った。私の語彙不足でこれ以上にふさわしい言葉を知らないが、そうとしか言えなかった。

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いらいらしたりしないんだね、と言ったら、もし逆の立場でも同じことをするでしょ、と返事がきた。確かにそうではあるのだが、頭で想像することとそれを実際にやることはまた別なのだ。

普段とは違う状況を迎えた時、その人の真価が問われる。そういう時に取り繕うことは不可能だ。人は普段からしていることしか、できないのだ。いくら特別なことをしようとしても、それをしたことがなければ、その思考を普段からしていなければ、それを実現するのは難しい。

旅にトラブルはつきものだが、今後はもっと時間に余裕をもって行動しようと思った。今までどんなにギリギリでもどうにかなっていた私が、考えを改める良い機会となった。そして不足の事態に陥っても、冷静さを欠くことのない彼氏に、私もそうありたいと思わされた。