私の仕事は、文字を書く仕事である。本業とは言えないけれど、文字を書くことが好きで始めた仕事。パソコンとにらめっこをして連ねていく文字は、自分の頭の中をそのまま映し出しているみたいなのだ。何を書こうかと、言葉を探っている間は、書きたい内容について絵や動画で想像している事が多い。回想シーンのような映像が流れていることもある。浮かんだ絵や動画を説明しているときの進み具合は見事だ。自分でも気持ちよく、書き終えたときには達成感に満ちあふれているくらいだから。

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文字を書くことに興味を持ったのは小学生のとき。タイピングとブラインドタッチにあこがれ、習得してみたくなったことが発端だ。パソコンを速く叩ける人は仕事ができる人というイメージがあった。当時、キャリアウーマンがかっこいいと思っていた私は、少しでも近づきたいと思った。見よう見まねでパソコンのキーボードを叩いていく。まだノートパソコンは我が家にはなかったので、デスクトップのキーボードで遊んでいた。昔ながらの、フロッピーディスクを差して使う、タイプライターのようなパソコンがあり、それが私のお気に入り。画面に出てくる文字はアルファベットで、まるでプログラミングをしているかのような画面だった。

なにもわからなかった私は、とりあえず意味もなくキーボードを叩きまくった。ネットにはつながっていない、重要なデータが入っているのかはわからない。でもこれ以上使わないであろうパソコンとフロッピーディスク。漠然とした、これなら大丈夫、という感覚を覚えて、時間があればずっと叩いていた。

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数年後、学校の授業でローマ字を習った。パソコンで打ち込むと日本語になる。私にはとても魅力的だった。教科書に載っていたローマ字一覧表を眺め、自分の名前から家族の名前、好きな芸能人の名前などを目で追っていく。この頃にはネットにつながっているパソコンを使う機会もあったので、ワードやメモなどを開いては打ち込んでいた。ちゃんとした文章として残せるものではない。書いては保存せずに消して、また新しくくだらないことを書いて、その繰り返しだった。

ブラインドタッチの練習は、自転車の補助輪を外すような感覚で行った。最初はキーボードを見ながら速く打ちこめるように練習する。次に、少し目を離して単語を打ち込む。目を離す時間を徐々に増やしていき、1文くらいは画面に集中していても打てるようになった。これを繰り返せば、憧れていたブラインドタッチも夢ではない、そう思えたのだ。

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そこからブランクはあったものの、仕事として「書く仕事」を選んだ。あのときの楽しさや達成感が忘れられなくて、これなら続けられると思って始めた。パソコンを相棒としてさまざまなジャンルを執筆できるのはこの上ない幸せだ。タイピングの技術が向上し、調べた範囲を新しく知ることもできる。一石二鳥のメリットしかないこの仕事は、本当に自分の知見を広げてくれている。挑戦しないと知らなかった単語や、何度もミスをする単語だってある。これも発見だ。打ちにくい単語を見つけると、どうやって攻略しようか考える。スラスラとタイピングできたときはとても気持ちが良い。仕事として1本書き上げたときの達成感も気持ちが良い。仕事をしたという思いと、安心感が得られるのだ。

得るものがプラスであることが多い、ライティングの仕事。まだまだ十分なレベルには達していないし、自分を甘やかしてしまうときもある。仕事にしている以上それは避けたいのだが、仕事を楽しむための距離としてはときに必要なものでもある。難しい。数日間文字を書かないこともあるが、久しぶりにパソコンに向かい、文字を書いていくと、やはり楽しいと思う瞬間が多々ある。だから私は仕事を続けているのだと思う。

わたしの仕事の好きなとこ、それは、達成感とかっこよさを感じられるということ。そして、やっぱり楽しいと再認識させてくれるところである。これからも楽しんで文字を書いていき、レベルアップをしていきたい。