宮崎から上京して早3年。ずいぶんと都会での暮らしに慣れてきたと思う。
元々単独行動が好きで、派手物好きの私が田畑に囲まれた地方より東京のほうが肌に合っていると思うのは確実だった。
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それでも最近、死ぬまで東京にいるかと聞かれるとそんなことはないように思えてきたのだ。前までは「東京で生きます」と即答できていたはずなのだが、今はそれができない。明確な心境の変化があるわけではないが、なんとなく。
弟が高校2年生で、再来年には大学に進学する。今のところ福岡の大学を志望していると聞いたとき、ぼんやりと福岡に移住するプランを考えた。弟と付かず離れずの距離でアパートを借りて、彼氏をつくって仕事をして、たまに弟と一緒にご飯を食べて、年末は一緒に帰省する。福岡は九州1都会だし(当社比)、免許がなくても恐らく生きていける。うん、悪くない。
しかし断言することができないのだ。「弟が福岡の大学行ったら私も移住します!」と言う覚悟ができない。まだ2年後の話だから有耶無耶にしか思い描けないのかもしれないが、そういうことではなくて、なんとなく東京という場所が私を引き止めているような感じがする。
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そうして云々考えていたのだが、先日友だちに誘われて平日に弾丸でディズニーランドに行った。計画したわけでもない。前日の呑みの場のノリで「ディズニーのハロウィン限定パンプキン味のスイーツ食べ尽くしたい」と何気なく言ったことが発端で、次の日に行くことになった。弾丸ディズニーは楽しかった。
そうしてディズニーではたと気づいた。福岡に移住するとなるとこういうことができなくなるのか。誰かと呑んでその場のノリでディズニーを決めて、次の日行くようなフットワーク軽めのことができなくなる。私の大好きなみなとみらいに思いつきで行くこともできなくなるし、いや、それどころかこの友だちと離れることになるのか、と。
友だちを作るということを、もう随分としていない。インスタで繋がっているのは、小中高、大学、インターン先で知り合ったほぼ同い年の面々だ。社会に出てから知り合った人とは繋がっていない。
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東京に来て約3年。東京は肌に合っていると思う。でもそう思わせる一端に、少なからず東京にいる人たちの存在がある。新しい出会いを拒んでいるわけでは決してない。しかし彼らとの繋がりを一切捨てて行こうと思えるほどの決意が、私にはまだ無い。
上京したてのときは東京の喧騒と派手さに心打たれたものだ。私は東京で1人で生きていけると豪語していたのに、気づけばここで見つけたお気に入りの場所と、何より知り合った人の存在と彼らとの思い出が私を東京に留まらせている。
とはいえ私も新しもの好きである。福岡に行きたいという思いが薄いわけではない。弟が福岡に行くそのとき、私の中で天秤にかけてみようと思う。人と己の好奇心。後者を取っても連絡を取り合ってくれる人、私がたまに東京に行ったら会ってくれるような人が、一生大事にすべき人なのだろう。