男友達から、久々に会わないかと連絡が来た。てっきり他にもメンバーがいると思い、パートナーに確認を取ってから快諾したが、二人きりだった。突然パートナーから、ちょっと待てとか、やっぱりやめろとか言われたけど、男として見ていないからと、説き伏せて許可を取った。
ちょっと嫌そうだったけど、居酒屋を予約した。彼とは喧嘩気味でむしゃくしゃしてて、友人に話でもして、気分転換したかったというところもある。男友達と行くには少し洒落ている店だけど、パートナーの義兄の店だから、私もパートナーも安心できる。
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友人は、よく言えば柔和で誰からも好かれるタイプ。悪く言えば人畜無害。真面目で、偏差値の高い大学に進学し、エリート職に就いた。共通の趣味を持つお相手と同棲中で、好きなことを仕事にしているということを、素直にすごいと思った。
夢に満ち溢れ、見ようによっては魅力的かもしれないが、私には地に足がついていないように見えた。まぁそんなことを言っても気分を悪くするだけだから、「すごいね」とか言っておく。
まぁ基本的にすごいと思えるのは本当だし、生き生きと仕事ができるのは良いことだ。いつも前向きで、明るい話しかせず、なんだかんだ夢を1つずつ実現しているのはすごい。その上、自慢げでもなく、基本的に嫌味もなく、上手く自分を売り込めるのは、やはり頭が良いからだろう。今冷静に考えるとそう思う。
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友人から「(友人の)元カノはどうしてる?」と聞かれたので、彼女の近況を嬉々として話したら嫌な顔をされ、私の元カレの話を掘り起こされて、しかも「元カレは部活はイマイチだったよね」みたいな話をされ、嫌な気分になった。小学生じゃないんだから、スポーツができたら好きになるってもんでもない。少なくとも元カレは、こんな嫌なことを言うデリカシーのない男ではなかった。
私のパートナーの話もした。彼は財布の紐が硬いと話したら、「せめて大学はでないとしんどいよね」といわれ、そういう話じゃないんだけど?と思うも、「お金は生活ができるだけあればいい。真面目に働いてくれているから充分。それより好きな人といることが大切。こんなことを言うけど、堅実アピールしただけだから。あと割とお金はある」なんて惚気か自慢みたいな話は気が引けて、黙っていた。彼も私もお金はあまり使わないから、貯まる一方だ。
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しばらく他の話をしたあと、自分にはお金はあるとか、お金があったら何がしたい?とか言われ、いちいち気に障った。お金がなければ生きていけないけど、金だけあればいいわけでもないということを、理解していないようだ。
帰り際、さっぱり別れたら何かばつが悪そうにされたりして、そういうことがちょっと気になったけど、今まではこの友人のことで気にかかることはなかったので、全部気のせいだと片付けて帰宅した。
あとでパートナーにその日の話をした。気にかかる部分の話はしなかったが、「なんですぐに帰らなかったの」と、機嫌が悪そうで、険悪になってしまった。
後日、良くしてもらっているお姉さんに、その友人の話をした。その時は、友人の良い面の話だけをしたが、何気ない一言で姉さんの顔が曇った。それを見て、私は大きな間違いをしていると気がついた。違和感は全部、気のせいじゃなかった。
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パートナーにそのことを話すと「鈍感すぎる」と怒られた。あの日、私はお手洗いに寄ったので、友人は私より先に店を出て、義兄と話していた。私がつくと友人がとっとと出てしまったので、私は義兄と話す暇がなかったが、釘を刺してくれていたらしい。すぐに二件目を探す私を見て、義兄もさぞ呆れたことだろう。
同棲しているのに他の女に手を出すとか、ましてそれが女友達だなんて、本当に最低だと思ったが、何より、学歴、職業、収入で判断して、パートナーを下だと見たことに腹が立った。その上それで勝てると思いこんでいなければ、こんな手に出られるはずがない。
人をどれだけコケにすれば気がすむんだろう。その程度で偉そうに、何様のつもりか。逆に言えば、これ以外に勝てるところもないくせに、よくこんな自惚れられたもんだ。
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確かに、生活面でそれは役に立つかも知れないが、私は後先考えないタイプだから、こんなことで人を好きになることは一切ない。そういうものをちらつかせてくることは、現金を見せて言い寄るようなもので、露骨だし、品がない。
そういう私からしたら、耳障りのいい言葉を並べるだけで、誰かのためとか、何かのためもなく、深みも渋みもないこの男に、男としての魅力は1つもなかった。それに、そもそもどんなにいい男だとしても、こんなことをされたら幻滅するだろう。
聞くとこの男は、私の幼馴染から、パートナーの話は聞いていたらしい。根掘り葉掘り聞かれ、いろいろ察した幼馴染が、パートナーに連絡してくれたようだ。突然止められた理由もこれで理解できた。
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私は私が思っているよりは、市場価値が高いらしい。一応、女の子だからだろう。だったら、危ない場所には近づかないとか、怪しいものは全部はっきり拒否するとか、それなりに気をつける必要はあった。
そもそも本音で話したら、「へー、すごいね。まぁ感想それだけだけど」で、話は終わったはずだ。そういうことも言えない相手なんて、友達でもなんでもない。こんな得体の知れない奴に、気を緩めてはいけなかった。そういうわけで、私にも非はある。
しかしそうなると、女友達もほとんどいないことになる。痛い本音を言われても許せる相手って、そう多くはない。ぐさっとくるけど、この人なら嫌じゃないっていうのは、悪いところを見せても、好きでいてもらえている証拠かもしれない。私もそういう面を見ても、好きでい続けるよ。
そんな相手はほんの少ししかいないけど、まぁ、それでいいかな。