友人が失恋をしたらしい。

突然、電話してもいい?なんて連絡が来る時は、大抵恋にまつわる惚気か愚痴だと私の中では相場が決まっている。友人は、付き合って1年の彼氏と最近上手くいっておらず、もしかしたら別れるかもと嘆いていた。

流石に、ここで惚気ということはないだろう。彼に振られたのか、振ったのか定かではないが、どちらにしろ恋を失った話をしたいのだと容易に想像できた。

もちろん、いいよと返信をし身構える。 さて、今日は何時に寝られるかな。

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夜更かしは非効率的であると、年を重ねてようやく気づいた。

高校生までの私は、次の日に好きな人と出かける予定があると、寝る直前まで連絡を取り合い、ワクワクしながらあれもこれも準備して、早く明日になってほしい気持ちと、明日が終わってしまったらこれまでの楽しみがなくなってしまう切なさの相反する気持ちで、それはもう忙しかった。

結局あまり眠れず、若干寝不足で次の日を迎え、早く寝れば良かったと後悔していた。こんなことを何回も繰り返していた。

大学生の頃は、オール飲みだなんて言って、夜通し友人と時間を過ごした。それもある意味、夜更かしであろう。

眠さを我慢して、中身のない会話を延々と続け、ワイワイガヤガヤの中に混じりながら、時間を何度も横目で確認していた。

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早く帰って、ベッドで眠りたい。今からカラオケを出ても、家に着くのは何時で、これくらい眠れるけれど次の日の準備しないと、なんて頭の中は計算だらけ。

まだ若いから、メイクも適当に落とせば大丈夫だと疑わなかった無知な自分を叱責したい。肌は荒れ、隈もできるようになった。

夜更かしは美容の天敵だと、この頃知った。

大学生も終盤になってくると、比較的効率のいい夜の時間を過ごせるようになった。

次の日に、好きな人と出かける予定があるのなら、何日か前からパックをしたり、ネイルをしたり、美容に気をつけ、デートの前日は早く寝るだけ状態にしておく。

寝る直前もできるだけ携帯は見ないようにし、明日楽しみだなと思いながらベッドサイドランプを消す。これが大人の余裕か、とどこか客観視しながら眠りにつく。

これが最近の日課である。前日に詰め込まない。夜更かしをせず早く寝る。

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それでも夜更かしという行為には何か特別な力が宿っているのではないかと思うことがある。魅力的かつ神秘的。

友人と旅行に行くと、昔話や恋の話に花が咲き、何時間も話し込んでしまう。誰かがやっと、もう何時だから早く寝ようと教えてくれ焦ってベッドに潜り込む。

たまに、寝付けない時は、夜更かししてやろうと意地になる。何かをして夜を明かすよりも窓の外を見て、ぼんやりと物思いに耽るのだ。

真っ暗な空の中に鮮やかに月が照らされ、物音もほとんど聞こえない。世に生きている人たちの半分以上は眠っていると思うと何だか不思議な気持ちになる。

たまに寝付けない日があると、私は外を見ながら夜を明かす。地球が段々と起き出したかのように、橙色や紫色に光り輝く空。

そんな景色が小さな窓から見られると、夜更かしをして良かったと思う。もちろん、その日は一日中眠く、やる気は起きないけれど。

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失恋をしたらしい友人の電話はやはり長かった。友人が片想いしている時から知っているため、もちろん苦しい気持ちや彼に対して憤りすら感じる。

ただどこかで、肌荒れを治すために今日は早めに寝たいな、とか、今ではなくて直接会った時に聞きたいな、とか冷めた自分もいることに驚いている。

それもこれも夜更かしの代償を知っているがために、出てくる感情なのだろう。

夜更かしは非効率的である。だから、明日のことや自分の体調を踏まえて、この日は夜更かししても問題ないだろうと思える日に実行することが良いと最近気づいた。

魔力が宿った夜更かしを、私はあと何回経験するのだろう。