今から7,8年前、通信制の高校に通っていた。毎日通えるスタイルの学校だったため、週4日以上登校していた。友達はそれなりに出来て、放課後に遊ぶ時は遊んでいたけれど1人で過ごすことの方が圧倒的に多かった。自閉症スペクトラムという障害の特性上、「自分の殻に閉じこもる時間」が心を安定させるのに必要だった。
全日制の高校より早く終わるため自由な時間が多い。高校1年生の中盤頃から、学校の近くの落ち着く静かな場所を探し始めた。有線イヤホンで昭和のアイドル歌謡を聴き、ウォーキングも兼ねて喫茶店探しをし、3軒見つけた。
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1軒目は細長いビルの階段を上がった場所にある隠れ家的なお店。コーヒーとトースト(バター、ハニー、ピザトースト)のみのメニューで、コーヒー豆にこだわりがあるようだった。店内は薄暗い。お客さんは常連さんと思われるお年寄りが多かった。時間帯的にも女子高校生がレトロな喫茶店にいるというのは妙な光景だったと思う。
音楽は流れていなくて、話し声がBGM。頼んだコーヒーとハニートーストは苦味と甘味の対比が美味しかった。先日このお店の前を通ったところ、閉業していたようでしんみりとしてしまった。
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2軒目は駅近にある賑わいのあるお店。地域と連携してアニメとのコラボメニューなども出しており、いろんなお客さんがいた。サラリーマン、OL、常連さんetc…。メニューは物凄く豊富でドリンクだけでも50種類以上はあったと思う。フードもドリアやスパゲッティ、ハンバーグ、サンドウィッチなどたくさんあった。パフェも変わったアレンジのなされているものがあって、メニューを見ただけで迷う。
店主が気を遣ってくれる方で、私が1人用の席に座っていたら広い席に通してくれた。その気持ちがありがたかった。その時はそんなにお腹が空いていなかったのでアイスココアだけを頼んだ。夏を少し過ぎた頃だったから、渇いた身体に沁みわたった。
このお店はまだまだ賑わっていて、先日も足を運んだ。調べたら有名な芸人さんも足を運んでいたよう。
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3軒目は1番のお気に入りで、足繁く通っているお店。名前は伏せるが可愛い響きの店名が好き。かなり古くからやっているジャズ喫茶のお店で、老夫婦が営んでいる。ドリンクはコーヒーがメインで紅茶、ココア、メロンソーダなど。フードはスパゲッティとカレー、トースト。
いつもメロンソーダとトーストを頼んでいた。ここのトーストはバターがたっぷり乗っていて、パン自体も大きくてボリュームがあり、食べ応えたっぷりで食べ盛りの10代にもうってつけだ。ジャズ(知識はない)を聴きながら読書をして過ごす時間が優雅で尊くて、最高に好きだった。
このお店には高校卒業後、浪人して病んでいた友達を連れて行って何時間も話をしたり、付き合っていた彼氏とデートの時に入ったりして1人の時間以外の思い出もある。最後に行ったのは去年の秋だったっけ。時代が移り変わりゆく中、レトロで人情味のあるお店がまだ現役で存在してくれているのが嬉しい。
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ガラス張りのオシャレなカフェや「映え」スイーツの新しいお店が増えてきている。でも、私にとって居心地がいいのは古き良きレトロな喫茶店。そこには店主の人情と地域の歴史が詰まっていて、安心感があるから。
「居心地がいい」と胸を張って言える場所があるって幸せで、ありがたい事だ。客としてお店のために出来ることは、通うこと。できる範囲で今後も通い続けたい。