居心地のいい場所か、どこだろう。そんなことあんまり考えたこともなかったから新鮮だ。というかあれかな、私にとってそういう「ここが好き!」って場所最近あんまりないのかも。いや、ないことはないか。

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例えば今日だって、昔バイト先でお世話になっていたお姉さんとランチに行ってきて、ああなんだか久しぶりに他人とゆるく笑いあった時間だったかもなんて思った。そのお姉さんといる空間は朗らかとしてるというか、変に頑張らなくてもすらすら話したい事が話せるというか、私が何を話しても、うんうんと話を遮ることなく肯定的に聞いてくれるので、話してて気持ちがいい。

気持ちがいいというか、やさしさに包まれてるような気分になるのかも。そのままの私を受け入れてくれるみたいな。やっぱり年上の人とのほうが私はうまくいくのかもしれないなあ。余裕があるような雰囲気が落ち着く。もちろん、私のクソ元彼みたいに、年上だとしても精神年齢が中学生の人間もいるわけだから一概には言えないけど。

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 私は人前でいい子ぶったりかわい子ぶったり取り繕うプロだから、それが友達でも彼氏でもそうだったりするから結構しんどかったりする。付き合いが長い友達だからといって、みんながみんな、そのままの私を求めてるわけじゃないだろうとか、この子には、こういうテンションで接しなくちゃとかいう脅迫概念が無意識のうちに発動してたりする、とても大変な性格を私はしている。気にしいな性格って本当損だよなと思ったりもする。たまにね。

だから今書いてきたその年上のお姉さんといるときは、素の私に近い私でいられる。打算的思考にもならなくて済むし、そのままの私が好きなことを好きなように話せる相手との時間が私にとって居心地の良い場所なんだと思う。どんな場所でもなく、その誰かとの空間を居心地が良いと感じる体質なのかな私は。

そう考えてみると、じゃあ私にとって精神的な意味ではなくて、物理的な意味で、この場所が居心地良いと思えるところはあるのかなという疑問が浮かんだ。うーん…。ああ、ライブハウスかも。

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私はライブに行くことが、高校の頃から好きだった。アイドルもだし、バンドのライブもよく行っていた。自分の好きなアーティストを生で見られるのもうれしかったし、大好きな曲を生で聴けるのは最大の贅沢だった。そういう非日常的な空間だから好きという気持ちももちろんあるが、居心地が良いと感じる理由は別にあった。

それはさっきのお姉さんとの空間で感じた「そのままの私でいられる」というものだ。ライブハウスで爆音の音楽を浴びているとき、周りの人間はみなステージを見ている。当たり前のことだが、私にとってはそれがなんだか心地いい。だからこそ何の目も気にせずに、そのままの私としてライブを感じて楽しむことができる。それがとても気持ち良いのだ。死ぬほど縦揺れしようがペンラを振ろうが、許されるのだ。日頃抑圧した感情を解き放つことができるのだ。

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というとどんだけ日頃から抑圧されてんのやって感じに思われるかもしれないが、きっとそういう人たちは多いでしょ。ありのままとかそのままの自分で生きていこうとかいうキャッチコピーばかりが増えていくだけで、実際は取り繕わないと生きてけないこの社会で、どこにも吐き出せないエネルギーをみんな持ってるわけで、エネルギーもそうだし自分を問答無用で受け入れてくれるふかふかのクッションを求めているわけだ。

誰もがみんなそれぞれに居心地が良いと感じられる場所を持てたらいいなと私は思うし、私はもっとその場所を増やしたいなあと思う。だからそのために、出会いも経験も積み重ねていかねばと、そう思うなあ。