いつか、今がいちばん楽しいと思える日が来る。そう信じてとにかく毎日をこなす。今日もまた、未来に想いを馳せて、頑張ろうと自分に言い聞かせてから家を出た。絶対楽しいと思える場所に身を置けるから、今はスキルを身につける時だと信じることにしている。そのいつかはいつ来るのだろうか。来ないかもしれないと弱気になることもしばしば。

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数年前、正社員として働いた職場を辞め、無職になった。もう仕事は続けられないと音を上げた私は、二度と同じ仕事はしないと心に決めて退職届を出した。

仕事を嫌いになったわけではない。環境に馴染めなかったことが原因。毎日慣れない環境で仕事をしろと言われても、出来るはずがなかった。日に日にストレスが増す私。体の不調として症状が出るほどだった。薬を飲み、なんとか心を保ち、早く退勤時間にならないかと時計ばかり眺めた。こんな毎日、当然リタイアするに決まっている。

退職してから、何をしようか考えた。退職を考え始めた頃から始めたライターを本業にしてみようか、そう思った。自宅で仕事ができて、自分の好きな時間に執筆することで利益が生まれる。好きなタイミングで仕事をすれば収益が生めることがとても魅力的に思えた。

とはいえ、実際に生活していけるレベルまでは追いついていなかった。書くのは好きだが飽きっぽい。少しでも文章に詰まってしまうとすぐに他に目移りしてしまう。稼ぎたいのに。本業として生計を成り立たせたいのに。

どうしても時間は必要だった。自由に生活している人は、何かしらの努力や自分なりの分析をしている。毎日仕事と向き合うこと。効率の良さを追求すること。とにかくチャンスを虎視眈々と狙うこと。すべてを制した者が、ほんの一握りであり、憧れられる人物になれる。始めた頃は希望を持っていたが、やがて自分には努力できるほどの余裕がないことがわかった。

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退職して、大きく環境が変わった。収入はなくなり、引越しを余儀なくされた。引越し費用、家賃、生活費。貯金残高はあっという間に減っていく。こんなに早く減るものか、と思うくらいあっという間だった。取り急ぎ、家賃を稼がなければならない。とにかくギリギリでも生活できる分だけを稼がなければ、生きてさえいけない。今のままでは、ライターはただの小遣い稼ぎにしかならず、本業と呼べる仕事が必要だった。

ぐるっと頭を巡らせる。どれがしたい、こんな仕事は嫌だ、などをとっぱらい、自分の持っているスキルを探す。いちばんお金になる仕事。前職と向き合うしか残っていなかった。前職とはいえ、フィールドが違えば感じる世界も違うのだろうか。ひとまず飛び込んでみることにした。

すると、直感で働けると思った。前の職場では感じなかった、やりがい、を感じられるようになった。これは大きな進歩だ。働くとはこういう感情が大切なのだ、と大きく頷けるほど心が動いたのだ。

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ここから、自分なりに楽しんで働こうという思いが強くなった。仕事がしたいと思う気持ちを大切にして、とにかく楽しんで稼ぐ方法を見つける。いつか、無理をせず、楽しんで生きているだけで稼げている未来を想像して。

これは、仕事をしないという選択ではない。程よく仕事をして、プライベートも充実させて、一度きりの人生を謳歌しようじゃない、という計画。今はまだ生活が安定していない。いつか、この現実を変えてくれる魔法のようなものがかかり、「楽しい」が口癖になる日々を送りたい。この魔法が叶う日を、今か今かと待っている。

もちろん、ただ待つだけでは叶わない願いだ。今日も明日もその次も、来たるいつかに備えて準備をする。たまにくじける時もあるけれど、積み重ねが大切であることは自分がいちばんよくわかっているから。今日も、絶対にやってくると信じているいつかに憧れながら、本業も、ライターも続けてやると決めている。