小学一年生のとき、一番最初に持った夢は「作家」だった。
クラスの発表で、「私は作家になりたいです」と宣言した記憶がある。
あれから17年、私は24歳になり、作家にはならなかったが、ライターとして大好きな「書く仕事」を続けている。

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私は小さいころから海外に住んでいたが、日本語での文章作成が得意だった。日本で生まれて育った一般的な日本人よりも、クラスで作文を読まれたり、賞をもらったりしていた。海外では秋から新学期が始まるので、学期と学期の間によく日本に一時帰国をして一ヶ月だけ日本の公立小学校に通った。そのときに、幼稚園のころ亡くなったおじいちゃんのお仏壇に、おじいちゃんが好きなさくらんぼを乗せたという文章を書いて、褒められた。その他にも、海外から日本に帰って来たときに通った小学校で、転校してすぐクラスメイトがハンカチを貸してくれたエピソードを元に作文を書いたら、全校朝礼で読まれた。特別な内容を題材にしたわけではなかったが、小さいうちから書く才能を開花させていた。

読書はさらに私の作文能力に磨きをかけた。まだインターネットが小学生まで流行っておらず、スマホさえ普及していなかった時代、小学生の私は家でも学校でも、帰りの会を待っている僅かな時間でも、本を読んでいた。本を通して心を動かされ涙を流したり、自分も使ってみたいなと思うような文章表現を身に着けたり、想像力を膨らましたりと、読書はいいことだらけだ。

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結果として日ごろの読書量と文章を書く情熱とセンスが合わさり、私の文章力はめきめき上達し、小学六年生のときに、初めて文章でお金を稼いだ。といっても、図書カード2000円分だが、今考えると私が人生で初めて労働で対価を得た経験だったので、誇らしい。

しかしながら、作文を書くことは得意で、文章を書きたい情熱は幼いころから変わらず持っていたのだが、小説の執筆は上手く進まなかった。ネタになりそうなアイディアはたくさん浮かぶのだが、話がまとまらない。小説を断片的に書くことはできるが、最後まで継続して書き終えられない。小説を書いては書き直し、途中でやめるというループが高校生あたりまで続いた。

ところが大学生のときに、小説からエッセイを書くことにより興味が湧くようになり、絶対に作家にならなければいけないというしがらみから解放された。きっかけはツイッターの広告から、「かがみよかがみ」の存在を知り、文章を書いてアマゾンギフト券が貰えるなら、なんて最高なんだと思ったからだ。エッセイを書き続けているうちに、自分の人生を語ることで心の内を吐き出す、カタルシスを経験した。

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私は小学校を3回転校し、海外に9年間住んでいて、しかもその間日本に行ったり来たりしていたので、「私の人生経験はひょっとして小説の世界より面白いのではないか」と考えるようになった。また精神的な問題を抱えてるから、心の病気について真剣に書くことができるし、中学校から演劇を続けてきたから演劇の面白さや辛さを語ることができる。それに趣味が広いので、アニメ、マンガ、映画などのサブカルチャーから、旅行や最近ハマったシュノーケリングまで書けるネタが多い。こうして私は作家からライターに切り替え、自分の経験を文章で残していきたいと思うようになった。

心の毒を吐き出すために文章を書くことが多いため、私のエッセイ内容は暗めになりがちだ。今後は海外であったハッピーな体験やおもしろエピソードを語ることにより、書いている私自身と、読者の方々にハッピーの輪を広げていく活動をしてみたい。