一人暮らしをすると、想定していた倍の家事が存在することに気づく。
掃除、洗濯、炊事…、に付随するアレやコレ。気づけば埃被っているテレビの裏側。脂汚れの目立つレンジの中と切れ味の悪くなっている包丁。実家にいるときは気づかなかったことばかりだ。1人になって、家事と呼ばれる行為の事の多さに驚いた。母はこれを家族5人分、1人でこなしていたのだろうか。
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先月まるまる一ヶ月、実家に帰った。育ち盛りの弟2人とまだまだ現役の父、そして相変わらず1人で家事をこなす母。
朝は4時半に起床、洗濯機を回して長男のための弁当を作り、5時頃に長男を起こし朝飯を食べさせる。6時頃に長男を見送ると、今度は次男を起こして朝飯を食べさせる。7時前に次男を見送ると、そのまま1回目分の洗濯物を干す。私が帰ったことで計5人分となった洗濯物だが、普段から2回に分けて洗濯機を回しているので、2回目分を回したら改めて干す。その後掃除。
私なら朝だけで1日が終わってしまいそうなほどの家事の量である。ちなみにうちは自営業なので、主に仕事は父がこなしているが母ももちろん働いている。
昼は一旦帰ってきて昼飯を食べる。作るのは言わずもがな母。そして午後また働きに出る。夕方頃に帰ってきて、寸胴いっぱいにカレーを作る。家族5人分、内2人は食べ盛りの男子学生。米は8合炊く。それが一日分だ。
それでもレンジの中はある程度綺麗だった。包丁は切れ味がいいし、足りない材料もない。調味料はある程度、予備までそろっている。
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帰省中、皿洗いと米炊きと洗濯物畳みは私の仕事だった。それにしても母は常に動いているというのに、私がいないときは本当にこれらすべてを母が一人で行っているのだ。
恐ろしいのは、父がうちのIHコンロとレンジの使い方を把握していないことだった。確かに根っからの仕事人間で家事はあまりしないが、それにしても…、と言葉が出なかった。母がいない日などは弟たちがやっているらしい。
父を批判するつもりはない。夫婦円満、家族円満なので、家事云々で大喧嘩になることはないだろう。とはいえ、一人暮らしを始めてから家事が予想の倍あることを知ってしまった私からすれば「もっと家事したらんかい!」と言いたいのが本音である。
私自身が実家暮らしのときに何もしなかったから尚更だ。そのときの自分に言いたいことを、今は男3人に言いたい。なぜなら家はみんなのものであって、母一人だけのものではないからである。家事の事は、仕事の事と同じ意味を持つはずだ。それなのに膨大な家事を毎日、無給でこなす。休みは無い。強いて言えば風邪引いたときくらいだろうか。
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こんなことを書きつつも、私はまだ今晩の皿洗いを終えていない。洗わなきゃ〜と思いつつも、皿洗いに向かえば詰まり気味の排水溝という現実を見てしまう。憂鬱だ。
彼らは知っているのだろうか。実は炊飯器も定期的に手入れをしなければならないことを。詰まった排水溝は中身を捨てるだけでなく、排水溝そのものの油汚れまで洗わなければ臭いの元となってしまうことを。母の元を離れでもしなければ、きっと一生気づくことのない家事だ。