気がつけばもう12月となり、街はより一層クリスマスムードに染まっている。SNSでもどこか海外の人たちがクリスマスのために家を飾っている動画が頻繁に流れてくるようになった。

クリスマスの原点なんてよくよく知らないが、世界中の多くの人々が浮かれている空気が好きだ。そのままの勢いで年末年始となり、浮かれた気分のまま年明けとなる10日ほどの空気が好きだ。

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さて、クリスマスの思い出は、と自分の記憶を掘り起こしてみる。バイトや仕事をしたことばかりが思い浮かぶ。一人暮らしを始めてからは、クリスマスどころかイベント毎のインテリアを飾ることすらしなくなった。実家を出たところでサンタさん(a.k.a 親)からのプレゼントも無くなった。

もちろんクリスマスパーティーをしようなんいう友人も恋人も居ない。世界はこんなに浮かれてクリスマスを祝い、楽しもうとしているのに!なんだか惨めな気持ちになっていることに気がついたのは昨年のこと。

人生で初めてアドベントカレンダーを用意してみることにしたのだ。

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アドベントカレンダーはクリスマス当日までの約1ヶ月間、1日1個なにかしら…大抵はお菓子だが、さまざまなプレゼントがセットされていて徐々にプレゼントが豪華になったりして、クリスマスまでのカウントダウンと共に気分を盛り上げる代物だ。

コスメブランドやKALDIなんかでもよく販売している。ネットや店頭でさまざま吟味して、私は自作することにした。寄せ集めて何か作るのが好きなのだ。

百均やフライングタイガーなどで包装紙を用意して、無印やKALDIなどでお菓子を買って。徐々にサイズアップするようなお菓子は用意できなかったので、ここは日本風になどと意味不明な理由をつけ、大安の日に少しサイズの大きいお菓子、仏滅の日はこざっぱりしたお菓子、などというルールづけもした。

12月1日からの25日間、毎日一個何かしらのお菓子が用意されている。わざとらしいほどにクリスマス色の強い包装を毎日手に取ると、「あと何日でクリスマスだ」となんとなくワクワクして、すこし大きいお菓子に当たると「あ、今日大安かぁ」なんて思ったりして。

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休日にはNetflixでクリスマスがテーマの映画を見たりする。そうするとなぜだか不思議に、24日ないし25日が休みたくなる。「なぜクリスマスに仕事を?だってクリスマスなんだぜ!?」と言いそうになる。全く予定などないのに。

でもこの高揚感がたまらない。1人で完結していることだが、クリスマスってなんて楽しいんだ!クリスマス当日はしっかりと労働していても、「こんなときに労働なんて」と世間を恨むことはなかった。

私のように学生時代から忙しくなるイベント日こそアルバイトに精を出す人々がこの世にはたくさんいることだろう。我々のような存在がいるからこそ、イベントは成立する。今年ももちろん働く。イベントを楽しむ他人のために。

だからこそ自分なりにイベントを楽しむことを忘れてしまいがちだ。だけど我々だって、多くの消費者と同じようにイベントを楽しんだっていい。当日に盛大に楽しめないなら、前後で楽しめばいい。私なりのクリスマスは、12月1日から始まる自作アドベントカレンダーだ。

仕事で疲れているから、1人だから、お金がもったいない、などと理由をつけてクリスマスをスルーしてはもったいない。1人だからこそ、疲れを癒してくれる小さなお菓子を安価で用意して静かに楽しむことができる。これまでの人生、クリスマスやイベントへのいい思い出がなければ、これから作ろう。思い出は1人でも作れる。