街中にイルミネーションが施され、人々の表情や街の雰囲気が活気づくと、私はテンションが下がってしまう。
今年も1人でクリスマスを過ごすのか。
そういうネガティブな気持ちが頭をもたげるのだ。
外が寒くなって出かけることが億劫になるのは気温だけの話ではない。
カップルの距離は近くなるし、街中のショーウィンドウがクリスマスの到来を告げている。
そのきらきらした感じだけで、私はお腹いっぱいになり、それと同時にブルーな気持ちになる。

日本人は、なぜそんなにもクリスマスに出かけることを重視しているのかと台湾人の友達に言われ、はっとした。
元はイエスキリストの生誕を祝う日ではないかと。
そうは思っても、日本中がクリスマスは特にカップルにとっては特別な日だと考えている中で、本来の目的に戻りましょうと言ってみたところでもみ消されるだけだ。
日本では12月24日、25日はデートしなければならないという固定観念があるように感じている。

そんなにクリスマスを意識して、1人で過ごすことに悔しい思いをしているのであれば、長いものに巻かれてみたらいいのだ。
2022年のクリスマスが来る前に、私はそういう風に考えた。

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去年の秋時点で何回かデートをしてる人がいた。
私は12月に誕生日を迎えるし、相手もそれを知っている。
誕生日を祝ってもらったら、その数日後にやってくるクリスマスを一緒に過ごすことは自然である。
その時点で私は彼が彼氏になることを想像ができなかった。
何回かデートを繰り返すうちに、合わないなと思ってしまったのだ。

普通は、クリスマスをどうしても誰かと過ごしたいのであれば、何としてでも今ある縁を繋ぎ止めておかなければならない。
私はそれをしなかった。クリスマスマーケットにも行きたかったのだが 一緒に行きたいと思ったのは彼ではなかった。

どうしても行きたかったクリスマスマーケットには、大学の女性の先輩を誘って見に行った。キラキラ光るイルミネーションをバックに、先輩と一緒に撮った写真がいい思い出になっている。
去年クリスマスマーケットの入場者特典でもらったマグカップを、クリスマスの飾り付けのために数日前に久しぶりに出してきた。
生活をしていてマグカップが目に入るたびに、おいしかったグリューワインやソーセージの思い出が蘇り、笑顔になる。

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2023年のクリスマスこそは誰かと過ごしたいと思い、10月あたりから準備をしてきたのであるが、どうやら今年のクリスマスも1人で過ごすことが濃厚になってきた。
自分が思いを寄せていた人は別の人とクリスマスを過ごすようで、切ない思いをしている。

今年のクリスマスは、かわいくクリスマス風に飾り付けを施した、暖かい自分の部屋で、静かに過ごそうと思う。

私はクリスマスを誰かと過ごすことだけに必死になりすぎていたように思う。
女性の友達や先輩と過ごすことだって価値があるし、クリスマスに外に出かけずに自分の部屋を整えることも重要だということに気づくことができた。