師走になると、東京も横浜もいっきにクリスマスムードになっていく。東京には雪はめったに降らない。でも、町ゆくショーウィンドウがクリスマスオーナメントで賑やかになったり、渋谷から表参道までの道のりが、青のイルミネーションで続いていったり、六本木ミッドタウンも夜は恋人たちで賑わっている。

Christmas。それは、あと少しで恋人同士になれる関係性の男女や、すでにカップルの2人が、いつもよりより親密になれる、そんな不思議な雰囲気で街中のどこもかしこもが優しく包まれている。

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クリスマスの夜。それがたとえ仕事終わりの平日だとしても、オフィスからでて空を見上げると、うっすら星が見えるような、そんな澄んだ夜空の日が多い。きっと日本全国どこにいても、この特別な日に空を見上げたら、優しく照らされるような、そんな素晴らしいお天気の日が多いのだろう

この日だけは、一年の中でもめずらしく祝福された気分になる。遠く離れたあの人のところも、優しく照らしてくださいと祈りなくなるような、そんな夜であったりもする。

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子供の頃は、クリスマスときくと、真っ先にサンタクロースとプレゼントを思い浮かべ、「今年こそは、サンタを見るぞ!」と気合を入れて夜更かししようとするも、やはり疲れて寝てしまい、結局私は生のサンタを見たことがない。

12月に入ってから、チョコレート菓子の入ったアドベントカレンダーを、毎日一つ一つ楽しみにして開け、クリスマスを待ちわびている。

夕食が終わると、家族皆でたべるクリスマスケーキも毎年楽しみだ。ロウソクに火をつけ、火を消すのは自分か弟かで、毎年喧嘩してたりした。ケーキの真ん中にある「メリークリスマス」とかかれたチョコプレートを誰が食べるのかでも一悶着だ。

「いい子にいていないとサンタさんが来ないよ」と親に言われ、家の掃除を手伝ったりした。クリスマスが終わると、あっという間に大晦日と年越しで、12月は子供ながらに忙しい月なんだな、と思っていたのが懐かしい。

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それが、30歳手前になると、今年のクリスマスは誰と過ごそうか、という問題が毎年のようにでてくる。気の置けない長年の女友達と過ごすか、家族と過ごすか。本当は恋人がいればいいのに—————と思ったりもするが、私の場合、恋人がいてもクリスマスは1人で過ごすことになっていた。それを思うと、別に恋人がいてもいなくてもどちらでもいいや、と毎年そうなだめて過ごしている気がする。

横浜のクリスマスマーケットは行ったことがあるが、先日、はじめて福岡県博多の駅前のクリスマスマーケット偶然立ち寄った。金曜日の夜ということもあって、社会人だらけだ。

駅前に、スノードーム屋やホットワイン、マシュマロココアなどカワイイマグカップ付きでワゴン車で販売している。この寒い夜に、こんな温かくて甘いドリンクが大切な誰かと飲めるなんて、それだけでも羨ましい。プレゼントなど特別なことなんていいから、ただただそんな温まる夜を過ごしたいだけだ。

いまの私だったら、お互いの頼んだドリンクを2人で一口ずつお味見したい。寒いから、という理由で特別に相手のコートのポケットに手を入れたい。そんな日が、近い将来に来るといいなと思って、今年もクリスマスは家族と、自立した女友達と過ごすことにしている。