人生で初めての彼氏とは遠距離だった。小学生の時に両想いだった相手と、高校1年生の時に付き合った。住んでいる場所が遠すぎて結局一度も会うことができずに別れてしまい、そのうちSNSでも繋がれなくなった。もう二度と会うことはない、思い出になる相手だと思っていた。

「思っていた」というのは、そんな相手ともう一度繋がることができたからだ。そのこと自体はとても喜ばしかったが、相手も同じとは限らないんだということが二度も起きてしまった。そして、二度目の断りの連絡には、自分の気持ちが整理できなくて既読をつけられずにいる。

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1年前。幼稚園の時からずっと仲良くしている親友が、小学校の同窓会のLINEグループがあるよと招待をしてくれた。懐かしい名前が並ぶそのグループ内に、よく見たら元彼がいた。もう連絡がつかない過去の相手と思っていただけに、見つけた時は衝撃だった。

勇気を出して友達追加をして、最初の一言をなんて送ろう?と考えていると、相手から先に連絡がきた。彼は自分から、今は彼女はいないし、近くにいたら今も付き合っていただろうなんて言ってきた。正直かなり動揺して、ドキドキしてしまった。付き合っていた当時の、恋する高校生に戻ったような気持ちでしばらくやり取りをした。

彼の住んでいる土地に私が行く機会なんてほとんどないだろうから、こちらに来るときは教えてほしいと伝えたら、こっちにも来てよ~と言われた。冗談でも社交辞令でもなんでも、来てほしいと言われたことが素直に嬉しかった。そんな気持ちを悟られたくはなくて、「考えとく」とだけ返した。

それでも、私は実際に検討と行動をした。彼の住んでいる場所へ行く飛行機のチケットが期間限定で安くなっていたので、予定の全くわからない3か月後だったが、勢いに任せて取ってしまった。あんまり直近でそれを伝えても、彼に会うために手配したみたいで悔しい。少し経ってからでいいやと放置していた。

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そして予定の1か月前。「1人で行くことになって、全旅程空いてるんだけど」と彼に伝えた。そこで返ってきた返事もまた衝撃的だった。「その月は忙しい」と。この日のこの時間なら空いてるという提案もなしに、忙しいの一言で切られてしまい、ショックを受けた。

やっぱり本気で会いたいと思っていたのは自分だけだったんだ、結局こういうところは付き合っていた当時と何も変わっていないじゃないかと我に返った。いつだって彼は部活や資格試験で「忙しい」と言って、全く私と向き合おうとはしてくれなかった。遠距離でそれが難しかったということを差し引いても、彼はそういう人なのだ。そういう人だったじゃないかと、はっきり思い出した。

もっと早く言えば相手も調整できたかもとか、そもそも会える確約も取れていないのに先にチケットを取ってしまったのは私なのだからとか、そんなことも考えた。でも、せっかく10年ぶりに、「近くだったら付き合っていたかった」元カノに会えるかもしれない機会ができたのに、忙しいと言われるのはそういうことなのだろう。

誰にも会わない3泊4日は長すぎると思って、キャンセルすることを決めた。割引になっていたとはいえ決して少額ではないチケット代の半分近くは、返ってこない。一瞬でも当時のきらめきを取り戻した気持ちと一緒に、その金額は諦めた。

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それからしばらく経ち、相手のことを思い出すきっかけがあった時にもう一度連絡をした。今度は幅広く、向こう半年くらいの中から会えそうな期間がないかと打診してみた。

返事は、10分と経たずすぐに来た。一度断られていることもあり、勇気を出して送ったにも関わらず「忙しいかも」の一言だった。その通知を見て、やるせなさと怒りと失望と、いろんな気持ちがこみ上げてきた。

わかったと言って終わらせるのもなんとなく悲しい。かと言って、感じたネガティブな気持ちをぶつけるのも違う。私はもう彼にとって特別な存在でも何でもないのだ。なんて返せばいいのかもわからず、未読のまま2カ月放置してしまっている。付き合っているときですらまともに一緒にいられなかったのに、それでも何年も大好きだったのに、もう彼には二度と会えないのだろうかと思うと、なんとも言えない気持ちになる。

相手がこちらに来る機会があれば、チャンスはあるのかもしれない。彼がその時ちゃんと連絡してくるかどうかは、甚だ疑問だけれど。万が一連絡をしてくれたら、私は長期間の未読をすぐに開いてしまうのだろう。