私の母は、子供欲しさに結婚した。
その話は、以前このサイトに投稿した「母が「灰色」と表現した結婚から生まれた私はひねた考えをしてしまう」というエッセイのなかでも書いている。
30歳になって急に子供が欲しくてたまらなくなって、数年間続けていた不倫関係に終止符を打って、父と結婚した。これは母から直接聞いた訳ではないが、容易に本人だと特定出来るアカウント名とアイコンでnoteに投稿していたので、確実な話である。

「早く子供を得たい」という気持ちを最優先にして、結婚相手の性格などは吟味しなかったのだろうな、と思えてしまう程度には、父の人柄は良くない。どう良くないのかというと、クレーマー気質で、多分軽度ではあるけどモラハラで、器が小さい。
その性格を分かりやすく伝えられるであろうエピソードがある。すごくしょうもない話だけど。

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数年前、父に父方の実家の方面への出張が入った。
冬だったので、父はついでに実家に泊まって、スキーに興じることにした。そこに当時高校生だった私の弟を連れていけば、親孝行にもなると思ったのだろう。一緒に行くかと声をかけたものの、弟は断った。彼は別に運動が好きではいし、父方の実家の人たちは「父の根源」である感じをまとっているので、居心地も良くないのだ。

にもわらず、父は弟も行くと、勝手に実家に報告した。それによって行かざるを得ない状況を作り出そうとしたのである。
これに母がキレた。多分だけど、この行動そのものよりも、自分が良い顔をするために弟の意見を無視して思い通りにしようとしたことに腹を立てたのだと思う。家族のLINEグループで「弟くんは行かないと言ったはず。あなたから断りを入れないなら私から電話します」と送った。
それをきっかけに、父はそのLINEグループを退会した。

……えっ。

キレてLINEグループ退会するなよ。情緒が高校生だよ。それもクラスの中で最も感情の起伏が激しいタイプの。X(旧Twitter)に「そんなことまで書くなよ」って思うような投稿をしまくってるタイプでもありそう。
そこから誰も招待していないので、現在も、家族のLINEグループに父はいない。

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ちなみにその後、父は母と口をきこうとしなかったが、母も一切態度を軟化させなかったため、じわじわと普通に話し始めた。このような情けなさも、尊敬出来ない点である。

これでちゃんと謝るだとか、話し合う姿勢を見せられるような人ならば「微笑ましくもある夫婦喧嘩」として成立したかもしれないが、残念ながらそうではない。このように母が言い返すケースは稀で、ほとんどのことでは母が諦め、失望が重なっていくばかりだ。

もちろん、母にも悪い点はある。そもそも不倫なんかしていたから結婚に焦る羽目になったのだ。
今年、弟は大学を卒業する。
母の結婚当初の目的と、それに付随する義務は果たされたと言ってもいいだろう。
ちょっと前、母は言っていた。「離婚になって私が困ることと言えば、携帯の家族契約を変更する手続きが待っていることくらいだ」と。
そもそも母は、父の総資産を把握していない。そこまで知ろうともしていない。

果たして、この夫婦関係はいつまで続いていくのだろうか。
文句を言いながら結局死ぬまで添い遂げる夫婦も多いのだろうから、分からないけれど。
どうなるとしても、私も弟も、口を出すことはきっと無い。本当の意思は、当人たちしか知らない。