大学生になり、アルバイトを始めました。職種は接客業。今までにアルバイトをしたことはなく、仕事はきちんとこなせるだろうか、人間関係はうまくいくだろうか、とたくさんの不安を抱えながらアルバイト先に向かいました。

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足を踏み入れると、パートさんやアルバイトの学生さんが温かく迎えてくれました。最初は緊張で汗が出てしまうくらいだったのですが、だんだんと楽しくなって、やりがいもあって大学を卒業するまでここで働き続けたいと思いました。

しかし初めてのアルバイトで上手くいくことばかりではなく、何度もミスをして、落ち込んで、時には大きなミスをして一週間以上引きずってしまうこともありました。自分の不甲斐なさに申し訳なくなり、何度かやめようと思った瞬間もありました。ただ、そんなときも周りの方々が「私も最初の頃はミスがあったよ。やり続ければ慣れてくるから」「ミスして学ぶこともあるよ」と声をかけてくれたり、店長が色々と指導もしてくれたり、今までやり続けることができています。

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どんなことも最初は失敗をしてしまうし、失敗するとやっぱり自分にはできないかもしれないと感じてしまうけれど、やり続ければちゃんとできるようになるということを体感しました。アルバイトを始める前までは、友達が「アルバイト先の店長、最悪だよー」「もうやめたいわ」「憂鬱すぎていきたくない」などと言っているのを聞いて、まあそんなもんだよな…と思っていたのですが、私のそんな想像とは裏腹に社員さんもパートさんもアルバイトの学生さんも、皆さんとても優しくて尊敬できる方々ばかりでした。

私も含めた新人たちのことをよく気にかけてくれて、分からないことがあったり困っていたときには、何度もフォローしてくれました。特に店長はとても気にかけてくれて、分からないことを聞くと細かく、分かるまで教えてくれました。

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優しさを感じたのは店の人たちに対してだけではありません。あるとき、台車が重すぎてスロープを上れず、どうしようかととても困っていました。台車を力いっぱい押すこともできるけれど、そんなことをすると高く積まれた段ボールが吹っ飛んでしまう、でも遅くなると他の人に迷惑がかかるし…と悩んでいました。

周りに頼れる人もいないので引き返そうと思っていたところ、近くにいたお客さんが「大丈夫ですか!?」と声をかけてくれました。それから一緒に台車を押してくださって、無事にスロープを上ることができました。本当にあの時のことは忘れることができません。

今まで、人間は利己的な人がほとんどだと思っていて、テレビやネットなどでたまに見かける優しい人に助けられたというようなエピソードも半信半疑でんでいたのですが、本当にそのような優しい人がいるのだと身をもって知ることができました。名前も分からない方ではありますが、この方のおかげで前よりも柔軟な考え方をもって自分も人にやさしくなろうと思うことができました。