国家資格を手に入れて働き始めた専門職。資格を取るまでにもいろいろあったが、合格できた時は嬉しかった。しかし、いざ働くと感じる何かが違う感覚。働けば働くほど違いが大きくなり、本当にここで働いていていいのかと考えるようになった。ずっと同じ場所で働き続けるのか、そう考えた時、出た答えはNO。どんな間違いが起ころうと、この職場には骨を埋めないという固い決意があった。そこから私は、本当に長く働ける場所を探し始めるのである。

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私の仕事は専門性が高かったので、仕事の分野としてはひとつ確立されたジャンルを持っていた。職種を書けばクレジットカードの審査が1発で通るほど。すんなりと手続きが進んでったときには、これでいいものかと驚いたほどである。それくらい世の中には信頼されていた仕事だった。社会的評価は高いものの、実際に働けば暗闇に放り込まれたように視野が狭くなる。この仕事で一生食べていくことが当たり前だと認識され、職場を変えようにも、部署内の動でなんとかしようとする。転職を考えても職種は変わらず、結局知識を活かせる場所に落ち着く。職場の住所が変わっただけであり、今までの自分と何も変わらないと感じもおかしくないのである。

私はそこに疑問を持った。仕事自体は嫌でも嫌いではないが、自分のキャリアは、職場にも職種にもこだわらずに考えたいと思ったのだ。転職を考える時、必ずと言ってもいいほど登録する転職サイト。最初は今の仕事に就いている人が集まる求人サイトに登録したが、一般職の転職サイトにも登録した。条件はあまり考えていなかったが、自分ができそうな仕事をピックアップして閲覧した。だらだらと流して見ていると、希望の条件がみえてくる。給料、仕事内容、休日など徐々に検索範囲を狭めて狙っていく。両方のサイトに登録したが、よく見るようになったのは一般職のサイト。この頃には、専門職には戻らないと決めていた。 どこか違う場所で働くこと、一般職として社会人をスタートできないかと考えた。パソコンでのデスクワークも好きなことから、事務職やOLになっても良いのではないかと思うようにもなっていた。

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専門職として働き続けることに良い印象を持たなかった私。これからどうするかを考えた時、仕事は専門職だけではない。むしろ、自分がいた世界は広いように見えた狭い世界だったのだと気づいた。いろいろな選択肢があり、いろいろな働き方もできる仕事。国家資格なので、全国どこでも働けるのが良い点だ。だから一生仕事には困らない。そう言いきかせて、資格を生かせる範囲が広い世界なのだと思わせる。しかし、世の中の仕事はそれだけではない。地球の中の日本、日本の中の都道府県、それくらい広いようで狭い存在なのだと気づく。気づいたらもう騙されない。自分ができそうな仕事を、職種の幅を広げて日本中から探すことにした。探してみると、面白い求人も見つかる。知っている大手の求人を見つけると、心が踊った。さすがに面接までいく勇気はなかったが、大きな海を見たような感覚があり、やはり自分がいた世界は狭いものだったと再認識できたのだ。

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 私の視野を広げてくれたのは、一般職の転職サイト。仕事は、今従事している仕事だけではない。知らないところにたくさん仕事はあり、意外と条件のいい仕事は見つかるということも知った。働き方も、どんな仕事をするかも、さまざまな種類を取り扱っているからこそ見つけられたのだと思う。

まわりは専門職にとどめようとするけれど、違う畑を見に行ったっていい。この仕事いいかも、って思えた時は、少し深く掘り下げてもいい。実際に、一般職がどんなものか面接を受けに行ったこともある。今の仕事ほど稼げないな、と実感する仕事もあったが、知らないことがいろいろわかった時間でもあった。行ってよかったと思う。これからまた、違う仕事を検討するタイミングがあるかもしれない。そのときも変わらず、いろんな仕事から自分に合う仕事を探すだろう。視野を広く持てば、これだ、という何かに出会えると思うから。