結婚もしてない私が、離婚に関してギャーギャー言うのもどうかと思うが、日本の結婚やら離婚やら、総じて婚姻制度には思うことがある。
以前も夫婦別姓については、かがみよかがみで書いたことがあるけれど、私の知り合いに「面倒だから」を離婚しない理由にしている人がいた。

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職場の先輩であるその人は、旦那さんとの冷えきった関係ゆえに度々「離婚」というジョーカーのようなカードをいつ切ろうかと夫婦で牽制しあっていると度々耳にしていた。
けれどまあ「離婚したい」「離婚してやる」、芸能人の離婚のニュースを見れば「羨ましい!」と漏らすにも関わらず、一向に離婚をしないのでまあ、喧嘩するほど仲がよいんだろう。「仲良く喧嘩しな」というトムとジェリーのテーマソングが頭によぎっていたけれど、ある日その人から「本当は今すぐにでも離婚したい。でも面倒だからしないだけ」という言葉を受けて「え?」と聞き返してしまった。

私は結婚する予定もないし、そもそもパンセクシャルという恋愛において性別に重きを置いていない人間なので法律で結び付けられる婚姻というものに今後縁があるかわからなかったが、でも興味本位に耳を傾けた。
面倒とはどういうことなのだろう…。
慰謝料、親権、財産分与……。
頭の中にぱぱぱっと、ドラマや英語で見聞きした知識が浮かぶ。

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「離婚したら面倒だよ。結婚するときも面倒だったもん。銀行やら免許やらみんな名字を変えなくちゃいけないんだから。エネルギーがいるんだよ。エネルギーが。結婚する時はいいよ、好きな人の為にちょっとの面倒くらい請け負ったよ。でもいまアイツの為にあの苦労をもう一回はできない」

先輩は「名字を変える手間」を声に大にして言った。

私は結婚をしたことはないが、いわゆる手続きの類が苦手だ。
市役所にやむを得ず行く時は自分を奮い立たせねば足が動かない。
名字を変える手間の面倒さは先輩のぐっと眉間に現れたシワが物語っていて、それにあてられて私の眉間にもシワができた。

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でもどうしてそんな面倒なのだろう?少し考えてる。

足かせがないと、簡単に結ばれたり、別れたり、また結ばれたりしてしまうかもしれない……そういうことだろうか。

例えばパートナーシップも結んでいない、結婚の権利もない同性カップルが部屋を借りようとすると不動産屋さんは「すぐ別れないだろうか」と懸念するという話を聞いたことがある。

結婚のような手続きや、手続きに伴う面倒さを踏んでいないから、すぐ別れると思わてしまう。それはもちろん家賃の未払いを防ぐためというのは納得できるけれど、なかなか解せない。異性カップルでも同性カップルでも早く別れる人は早く別れるだろうし、一途な人は一途だ。
少し話がズレてしまったが、人と人とが結びついて愛になり、法的に結ばれようとなっても、別れようとなっても面倒さがついて回る。
それも仕方がないことに思う……まあ飲み込める。

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でも引っかかるのはどうしてその足かせはどちらか片方のみなのだろうということだ。
名字を変える手間がどちらかだけにあるというのは、なんだか対等な関係で無いように思う。どちらも面倒さという足かせがないとフェアでは無い。

夫婦別姓、もしくは結婚してそれぞれの名字を合わせて新しい名字を作り結婚生活をスタートするような仕組み(例えば「山田」と「田中」が結婚したら「山中」になる!ような)があれば、フェアではないか……。

と色々考える私に対して先輩はにっこり笑顔で、「まあ離婚よりも、今はダンナが死んでほしいかな!それなら離婚届け書いたり名字変える手間省けるもん。相続の手続きはあるけれど、旦那のお金が入るならまあそれくらいは余裕よ」といって私をゾッとさせた。