2年ぶりに3度目のツーショットを撮った。

1度目は地元のお祭りに初めて2人で出かけた時。2度目は卒業式。そして、今回は成人式で。

何度も私のエッセイに登場しているこの人は私の初めて好きになってしまった人だ。

好きだけじゃダメなんだと痛いくらいに思い知らされた恋だった。

好きだけじゃダメなんだと自分に言い聞かせた恋だった。

だから、やっとまた話せるようになって、2人で話す口実にと呼んだ茶室で「初めての恋があなたで良かった、ありがとう」と言えた卒業式を最後にしようと思った。最後だからと自分に甘く囁いて、彼の掲げたフレームに入ったはずだった。

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2年ぶりに成人式で再会した彼は苦しいくらいになにも変わっていなかった。話し方も、歩き方も、笑う時に少し細くなる目も。

ちゃんともうあの時のようなときめきはない。なのにあの人がやたら視界に入るのは、私にとって唯一の元彼という肩書きのせいだろうか。

振袖を着て、プロにヘアメイクをしてもらった、おそらく人生で一番綺麗な私に、彼は、かわいいとは言わなかった。それでいい。あのときはノーメイク、みんなと同じ制服で、しかも体育の後崩れた髪でもかわいいと言って私の頬を熱くさせていたあなただけれど。それがいいんだ。

なのに、また「写真撮ろう」と言うのはどうしてかな。

あの日、茶室で話した日、「またいつか、なつめちゃんが点てた抹茶が飲みたい」と言ったのもなんだったのかな。茶室のない今、私があなたにお抹茶を点ててあげることなんてできないのに。

でも、これが珈琲とかじゃなくてよかった。手軽なものじゃなくて良かった。私達は抹茶を点てることのように、簡単には手の届かない場所にいるから。おかげで、“さよなら”が言えない私が迷うこともなくなるから。

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本当はわかってたんだよね。成人式の日が来たら、また何十回目かの「もういいの、これはもう恋じゃない」を繰り返すんだって。別に虚勢じゃないと私は思っている。恋人には元彼のことを自分から話すことは決してしないけれど、それも後ろめたいからではないし。

ただ、私たちはあまりに不完全燃焼で終わってしまったんだ。喧嘩できていたらよかった。嫌いになれるところが少しでもあったら。でも、残酷なことに1つもなかったんだ。なかったと言うよりは、それを忘れてしまうくらい素敵なところがあったと言うべきかな。

時が埋めた傷と、時が離した私達のもう戻らない距離。それだけにすがって、彼を諦めて、その傷をも忘れるのではなく、ただ感じないようにしてきたんだ。

この写真のせいで、またしばらくは少し嬉しくなって、断ち切れない自分にしょうがない奴だなと苦笑するんだろうな。
これは私と世界でもう1人にしか伝わらない言葉だけれど。もしかしたらその人にももう伝わらないかもしれないけれど。そもそもその人がこのエッセイを読むことはきっとないけれど。最後に。

たとえこれからも恋人がいる私が、何十回目かの堂々巡りを積み上げたとしても、“それは、正義でもなければ悪でもないと私は思うよ”。