私は、有名私立中学への進学を選ばなかった。自由研究に受験の天王山と言われる小学6年の夏を費やし、受験に失敗して、適性検査の受検で入れる公立中学に進んだ。

小学生の時、私は自主学習と題して調べ学習を行っていた。ジャンルは様々で、1番興味がある生き物についてのテーマの時もあれば、漢字や経済のような文系チックなテーマの時もあった。その中で簡単な実験に取り組む時もあった。

5年生の時、それを見た担任から自由研究に取り組まないかと提案されたことがきっかけで、私の研究キャリアがスタートしたのだ。

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初めての自由研究。私は当時の理科の先生や担任にアドバイスを頂きながら必死で取り組んだ。データをとることもそれをまとめることも大変だったが、とても楽しかった。

そして私の作品は、初出品にはそぐわないほどの高い評価を得て、賞も頂いた。とても嬉しかったと同時に、次年度への期待がかかっているのを感じて、少しプレッシャーも感じていた。

小学6年生になり、中学受験を意識する時期になった。憧れだったある有名私立中学を受けたいと言っていた私。でも、自由研究もやりたい。どっちかしか出来ないよ、と母に言われ、散々悩んだ。やっぱり研究をもう一度やりたいといって、自由研究に取り組むことにした。

夏はそれに費やした。もう一度賞を取らなければいけないという意識がなかったと言えば嘘になる。実際、賞を頂けた時には期待に応えられたと思い、ほっとした。だが、そんなプレッシャーの中であっても研究は純粋に楽しかった。

その後受験にもチャレンジしたが、やはり1ヶ月の受験勉強の中断の影響は大きかったようで、失敗した。合格できる位置に達していなかったことは分かっていた。それでも私なりに頑張っていたため、不合格の文字を見てわんわん泣いた。悔し涙を流したのは初めてだった。

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もうひとつ公立中学も受験していて、そちらに進学した。進学してしばらくは劣等感で死にそうだった。私は本当はここにいるべきではないんだ、という謎のプライドも持っていたため、初期の頃は少しキツい性格だったと思う。

でも、進んだ中学校、高校では、上位にいたことでできたことも沢山あった。比較的余裕があったことで色んなことに挑戦でき、明確な目標も持てた。そして現在は希望の大学に進み、友達にも恵まれて史上最高に楽しいキャンパスライフを送っている。
あの時受験を選んで合格していたら、もっといい大学に行けて、違う未来があったのかも。そう思うことはあっても、それを望む私はもういない。成功は学歴だけで語れるものではないと知ったから。今の人生はなるべくしてなったものだと信じることができている。それほどに、今の私は幸せだ。

小学生の頃の私へ。その選択は間違っていなかったよ。あの時勉強だけで夏を終わらせていたら、きっと後悔してたから。この道に進んでやりたいことができている今の私は、とっても幸せだから。私は研究が好きっていう気持ちに正直でいてくれてありがとう。これからも研究頑張るね!