私はあまり一生懸命就活をした方ではない。それでも、一度就活で肩身の狭い思いをしたことがある。その時の経験から得たことを、エッセイとして残しておこうと思う。

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専門学校で小説やシナリオの書き方を学んでいた私は、物語や文章に関わる仕事に就きたいと考えて就活をしていた。それで、勉強も兼ねてとある企業のメディア事業部のインターンシップに参加し、ゲームプランナーの仕事を教えてもらうことにしたのだった。
そのインターンは1日のみの短いものだったから、私は結構気楽に参加するつもりだった。

でも、当日にその感覚が間違っていたと気付くことになる。
いざインターンが始まってみると、私は己のあらゆるスキルの低さを痛感したのだった。

まず、圧倒的にコミュニケーションスキルが劣っていた。
インターンに参加していたのは、私以外大学生。3年生と4年生しかいなかったから、専門学校の1年生だった私は一番年下だった。それだけで少し緊張したけど、グループワークの時は頑張ってメンバーと話すようにしたつもりだ。

でも、就活の場ではそれだけじゃ足りなかった。大学生の人たちは、メンバーとだけではなく会社の方にも積極的に話しかけていたのだ。とにかく、行動と会話のスピードが速くて、私は全く輪の中に入っていけなかった。

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正直、ゲームの知識は専門学生の私の方があったと思う。ゲーム企画の授業も受けていたし、グループワークでの様子を見ていても、他のメンバーはゲーム企画自体あまり作ったことはなさそうだった。でも、現場では何もできなかったのは私の方だったのだ。知識があったとしても、コミュニケーションが取れなければどうしようもない。そのことを学んだ瞬間だった。

そして、私に足りなかったのはコミュニケーションスキルだけではなかった。
プレゼン能力も、大学生に大きく差を付けられていたのだ。

インターンでは、最後に各グループが作ったゲーム企画のプレゼンをする時間が設けられた。初対面の人の前で発表しなければいけないということで、私は緊張しっぱなし。皆一緒かと思っていたら、他のメンバーはかなりリラックスしている様子だった。

そして、いざ発表が始まってみると大学生たちはすらすらと企画の売りを話し始めた。私も何とかその場をやり過ごしたけれど、他の人よりも薄い内容の話しかできなかった。他のメンバーが自分の言葉で企画を売り込んでいるのに対して、私は資料に書いてあることをただ読み上げただけだったように思う。

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インターンの帰り道、私は一人、就活に慣れている大学生のすごさを噛み締めた。クリエイター職を目指していると、どうしても技術やセンスを磨くことばかりに力が入るけれど、それではいけない。働く以上、クリエイターである前に社会人なのだ。そのことを理解した1日だった。

結局、私は就職せずにフリーライターになる道を選んだけれど、あのインターンでの経験は仕事に生きていると感じている。

あの経験があったからこそ、積極的に人と交流しようと思うようになったし、ビジネスマナーを以前より意識するようになった。

今、少しずつでもお仕事をいただけているのはそのお陰だと思う。インターンでは心細い思いをしたけれど、少しは成長できたのかもしれない。

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