「アダルトチルドレン」

私がこの言葉を知ったのは、数年前大好きだった彼氏に振られ、自分の行いを顧みたことがきっかけだった。

思えば、私は彼との恋愛より前から、人との関係が上手く作れないことが多くあった。

それもあって、今回はその「原因」を解明したかった。

色々調べていると「アダルトチルドレン」と言う言葉に目が止まった。
大人なのに子供?なんともアンバランスな言葉に強烈に興味が湧いた。

◎          ◎ 

「アダルトチルドレン」とは元々親がアルコール依存症の家庭で育った人を呼んでいたようだが、現在、肉体的・精神的虐待や過干渉など、様々な家庭環境、問題を持つ親の元で育ち、トラウマや問題を抱えたまま大人になった人を含め、呼ぶようになっているみたいだった。

また、過干渉な母親と無関心な父親で育ったり、両親が離婚していたり、親にどちらかの親の悪口を聞かされて育ったなど、「機能不全家族」で育ったことも当てはまるようだった。

「過干渉」と「機能不全家族」。その言葉は私の経験にも思い当たる節があった。

私は母から重すぎるくらいの愛情を受けて育てられた。
例えば、学生時代、朝、家から駅までの送り迎えは日常茶飯事。小学校を卒業するまで着替えを決めてもらっていただけでなく、毎朝家を出るまでの支度は全てしてもらっていた。

それに、実家を出た今でも、私のことは何でも知りたがるし、半日連絡ができなかっただけで「大丈夫?」「何かあった?」と送られてくる。
一緒にいる時は、私が何かしようとするとすぐに「どうしたの?」と言うし、私がやろうとすることは全て先回りにされてしまうことの方が多い。

◎          ◎ 

母は少なくとも私が物事についた頃からずっと、私(子供)に尽くしてきた。

それと、母と父は私が物心ついた時から仲が悪く、幼い頃からずっと母から父の愚痴を聞かされていた。

アダルトチルドレンの傾向の中に「相手の行動を把握しておかないと不安だったり、相手の考え方・価値観を変えようとしたりする」「いつか捨てられるかもしれないという不安が強い」「嫌われないように・飽きられないように、どのように自分が嫌で負担を感じようともやり続けてしまう」などの項目があり、それは、私が彼と上手くいかなかった事、人間関係で悩んでいた事とも繋がっていた。

それに、自分に自信がないというところも当てはまっていた。

例えば、相手の些細な言動や行動で一喜一憂する。相手に好意を持ち続けてもらうために相手の意見を尊重する。自分の意見を伝える時でも、相手にとっての正解を探しながら意見を言ったり行動する。私もそういう行動を取っていた。

◎          ◎ 

私は両親の仲を取り持つためにいつも母と父の顔色を窺っていた。母の期待に応えられるように、父の機嫌を損ねないように過ごす事が普通になって、それが気づいた時には家族以外の人間関係にも影響を及ぼすようになっていた。

(私の考えの原因は母との関わりの影響なんだ)

母から与えられていた「愛情」。それが私の人との関わりに大きく影響していることと、自分がアダルトチルドレンだったことに気づいた。

この前、私が抱えていた想いを母に打ち明けた。

私がしっかりしていなければ見捨てられてしまうと思っていたこと。
母は優れている私が好きだと思っていたということ。
その気持ちを話した。

「らぶはらぶで、弟は弟で比較していないつもりだった。ママはらぶが努力していること知ってたから、それに見合う何かが返ってきて欲しいと思っただけなの。そうしないと後悔する気がしたから言ってたの。らぶが十分だって納得できるなら、ママは別に何にも思わないよ」。

◎          ◎ 

ああ、私が勝手に縛ってたんだ。私が勝手に自分を苦しめてたんだ。

いい子にしてないと価値がなくなってしまいそうで怖くなって、ちゃんとできないといらなくなっちゃうんじゃないかって、それがずっと怖かった。
私が期待に添えなくなくなった時でも、私のことを嫌いにならないか。
それをずっと確かめたかった。

確かめて、本当は何も背負ってなかったのだとそう知った。

母が及ぼした影響は多く、私は家庭を築くことや子供を育てる事に夢を持つことができない。

前よりはおさまってはいるが、私が26歳になった今でも、母は過干渉気味だ。

でも、私は、母のことが大好きだし、どんな時も支えて育ててくれた感謝もあるし、とても尊敬している。

◎          ◎ 

それに、今までの人間関係を振り返り色々な事に気付くことと、自分と向き合うことができたことで、今、私は自分に自信がある。自分が好きだと心からいうことができる。

だから、母の意向を聞かなくても決断ができるし、少しずつ対等な関係を築いていくことができるようになってきた。

多分今後も、母と対峙するたびにモヤモヤした気持ちを抱いてしまうこともあると思う。

それでも、私は自分の気持ちも母の気持ちも大切にして、上手く付き合っていきたいと思う。私にとってかけがえのない存在「たった1人の母」だから。