社会人生活も今年で4年目。仕事にも慣れてきて、変わり映えのない日々を淡々と過ごしていた。

5月のGWにクローゼットの片付けをしているときだった。専門学校の卒業時にもらった、クラスのみんなや担任の先生からのメッセージカードや手紙を見つけたのは。

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メッセージカードには学生生活での感謝や、お祝いの言葉が書かれていた。「これからお互い頑張っていこう」とか、「あのときたくさん話を聞いてくれてありがとう」とか。私は専門学校時代を思い出しながら、懐かしい気持ちで読んでいた。まるであの頃の自分が蘇ってくるようだった。

読んでいてふと気づいたことがある。書かれていた専門学校時代の自分の姿が今の自分とは違っていたのだ。クラスのみんなからは、「熱い心を持って頑張っていた」とか、「自分の軸がしっかりしていて尊敬していた」なんて言葉が寄せられていた。なかでも先生からの言葉には驚いた。「誰よりも自分の芯をしっかり持っていて、ぶれずに2年間頑張っていました」と書いてあったのだ。

メッセージを読んあの頃の私はそんなに一生懸命頑張っていたんだと思った。確かに学生時代は、学校の勉強やインターンシップ、アルバイトなどで、休みがないぐらい充実した日々を過ごしていたと思う。忙しいのが当たり前で、大変とか疲れるとか、そんな感情は当時はどこにもなかった。生活が毎日新しく見えて、刺激的だった。

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いつの間にか仕事は楽しくなくなって、少し忙しくなるだけで辞めたいと嘆くようになってしまった。社会人になってからは変わり映えのない、退屈な毎日の繰り返し。私は、刺激的で充実した毎日を過ごしていた昔の自分のことをうらやましいと思った。
今の私も昔みたいにがむしゃらに頑張ってみたいと。

と言っても正直、昔みたいに何事もがむしゃらに頑張るのは難しい。社会人になってから、手の抜き方を覚えてしまったからだ。手の抜き方を覚えることは決して悪いことではないが、もう少しだけ何かにがむしゃらになれたらと思った。

もう昔みたいな自分はいないかもしれない。でも今の自分の片隅には、あの頃の一生懸命な自分が潜んでいるのではないかと思った。そう、昔の自分も自分なのだ。そう思うと少し違う自分に出会えた気がした。

すべてに一生懸命にならなくても、日々の仕事や趣味、日頃の家事など、何か少しでもがむしゃらに取り組めることがあれば、今の生活よりも充実した日々になるのではないだろうか。

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専門学校の卒業時にもらったメッセージを見つけて、昔の自分を思い出すことができた。そして、昔の自分を今の自分に取り込むことで、きっと今までとは違う自分に出会えるだろう。

昔の自分も今の自分のどこかにいると信じて、退屈な毎日を少しだけ刺激的な日々に変えていけたらいいと思う。そうすればきっと、これからの人生が少しずついい方向へと変わっていく。少しバージョンアップした自分にこれから期待しよう。