私は理系を選んだ。理由は、理系しか考えていなかったから。文系に行くことや文系の大学に進学することははじめから考えていなかった。理系に進むと考えていたのは小学生の時で、若干7歳にして方向は決まっており、それ以外の選択肢は知ろうとすらしなかった。中学で数学を勉強しているとき、点数が取れると嬉しかった。わかったとき、思考回路がすっきりして、心の底から喜べた感覚がなんとも言えなかった。反対に、歴史にはとても苦手意識が強く、できれば逃れたいと思っていた。

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高校の文理選択で、私は理系を選んだ。文理選択は、文系と理系だけを選ぶのではない。選択科目といって、理科系の科目と社会系の科目も選択をする。これらの選択によってクラス分けをするのが学校の仕組み。そのため、選択科目を選んで文理選択を提出しなければいけなかった。私の場合、やりたいことが決まっていたので、すぐに選んで提出した。少し悩んだのは、社会系の科目を選択するとき。苦手とはいえ、歴史を学んでおいたほうが良いのかと悩んだが、理系を選択する多くのひとが地理を選択すると聞き、地理を選ぶことにした。歴史よりも圧倒的に興味がわき、学びたいと思ったからだ。

文理選択をしたあと、文系を選択していたらどうなっていたのか考えてみたことがある。理系選択とは違い、文系選択者はどこか楽しそうな印象を受けたが、歴史が必須である分、常に歴史の単語帳を持っていた。日本史と世界史を必ず受けなければいけないのだ。歴史が苦手な私にとって地獄に近い選択である。どうしても歴史だけはやりたくないと決めて選んだ文理選択なので、理系で良かったと思った。

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もしいま文理選択をしてみたとしても、間違いなく理系を選ぶ。

しかし、今の私が理系を選んだならば、高校生のときにできなかった分野の勉強をいちから学び直したいと思う。できなかったことで諦めた進路があるからだ。

もっとも、私が第一志望にしていた進路に手も足も出なかったことが一番悔やまれる。今の私には現役高校生の頭脳やスタミナはないので、同じように学べるかはわからない。しかし、学び直しだからこそできることはあるのではないかとも思う。高校生の時も、今も変わらず理系を選ぶほか私の選択肢はない。理由は単純かもしれないが、確かな意思のもと選んだ理系。進路を決定するときも、理系の学部や仕事のほうが将来性がみえてはっきりしたのを覚えている。仕事として想像しやすく将来の夢に直結するのも理系の魅力だ。私の将来の夢は、理系を選択しないとなれないに等しかった。それもあり、理系を選択した。

女子で理系を選ぶ人は少数派なのかもしれない。私の学校では、学年の7割ほどが理系を選択肢、女子はクラスの4割程度だった。理系クラスが多かったので、女子が少なくても孤独を感じるような印象は抱かなかった。ガリ勉のような印象を未だに持っているのであれば、それは間違いだ。ただ自分の興味に基づいて選んだ選択がたまたま理系だっただけのこと。それを恥ずかしがる必要はなにもない。

私の進路は、理系も文系も集まる分野だったが、進学しても理系を選択していて良かったと思えたことがたくさんある。理系を選択、理科系の科目に興味を持っていたおかげで勉強へのハードルが下がった。数学はそこまで得意ではなかったものの、数字にアレルギーを持つわけではなかったので、計算やデータの見方などには困らなかった。

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このように、結果的に救われたことがたくさんあるので、とりあえずでも理系を選択しておくのは間違いではないと思う。文理選択は、その後の進路を大方固めるくらいの舵取りだ。間違えても反対方向に舵を切れるのだが、場合によってはかなり努力が必要になることもある。それを高校生のうちに決めなければならないので、重い決断かもしれない。

私のように方向が決まっていないまま舵を握る人が多いだろう。そんなときは、職業やこれから習うカリキュラムなどを見てみると良い。友達に流されるよりも、自分が興味を持てるものに人生を託したほうが、楽しいところを見つけられるのではないだろうか。