忙しさから心を失って、やがて休職。しばらく休養して、元気になってからある本に出会った。その本に影響を受け「自分の好きなことで生きてゆく」と決意した今日は、わたしにとって転機となり、わくわくとした希望で満ち溢れてい

ずっとやりたかった業界に春から転職をした。いざ入ってみると、初っ端から多くの業務を任され、NOと言えない性格のわたしは責任の重さと多忙さに押しつぶされていた。
やがて心身のバランスを崩し、精神科の先生から「休養が必要です」と診断書が出てしまった。ああ、これで4回目だ。どんな仕事をしても、ことごとくうまくいかない。

そうして自信を失ったわたしは、日々の疲れとストレスで寝込んでしまう。

すこし回復したある日のこと。母に「文喫に行こう」と誘われた。入場料制の本屋で、名古屋に新しくできたそうなのだ。ずっと行ってみたかったので二つ返事で了承した。
本が大好きなわたしは、面白そう、読んでみたいと自分の心が言っている本をありのままに探してみた。そしてある本を見つけた瞬間、稲妻が走ったような衝撃を受けた。

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それは、松浦弥太郎さんの「エッセイストのように生きる」。なるほど、エッセイストという職業があるのか…。驚きながら読み進めてみると、エッセイストの成り方というよりは、エッセイストのような視点を持って生きていく術が書かれていた。
わたしはnoteで約5年間エッセイを書き続けている。文章を書くのはわたしにとっては呼吸をすることと同じくらい習慣になっていた。だからこそ、松浦さんのこの著書はわたしにとっての救いとなった。

エッセイストになるのは狭き門で、それで生計を立てている人は少ない。でも、エッセイストのように生きることはできる。世界に対して自分だけの見解を持って、その解釈を通して自分だけの言葉で表現をすることができる。
わたしもエッセイストのように生きたい。世界をいろんな角度から見て、それを言葉で表現し続けて、世界に発信していきたい。

そうやって「エッセイスト」のことを思うと、忙しく心をくしていた日々では考えられないほど、希望に満ちてわくわくしている自分がいた。

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そうだ、まずは「エッセイスト」と名乗ってみよう。各SNSのプロフィールに「エッセイスト」と書いてみた。
そうすると、わたしの言葉に興味を持って「いいね」と言ってくれる人、フォローしてくれる人が増えた。すごい……!昨日よりも少しだけ自分の感情を受け入れて行動してみただけで、こんなにも世界が変わるなんて。

変わり映えのない日々を送ってきた。忙しさから心を殺して、いつしか「エッセイを書きたい」という自分のやりたいことすらも忘れてきた。
そんなわたしが、ある本との出会いをきっかけに、昨日よりも3ミリだけ前に進めた気がする。昨日と違う景色が目の前に広がっていることが嬉しくて、今日もエッセイを書き続けている。
「自分がやりたいことで生きていく」と決意した瞬間から、世界は輝いて見えるんだ。もうわたしは、心を失くさない。すこしだけ前に進めた自分を信じて、これからも生きていきたい。