私は文系だ。

理系の道には進まなかったというより、進めなかった。
なぜなら、いくら理系分野が好きだとしても 理系に進むためには、理系分野の内容を理解して、テストで点数を取らなければいけない。
私にはそれができなかった。
だから私は理系を選べなかった。

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小学生の頃から算数が苦手だった。

小学5年生になると算数の内容が難しくなり、学校のクラスも習熟度別に分けられた。
他の科目では一番上のクラスでやっていけていたのだが、算数は真ん中のクラスだった。

習熟度別に分けられるということは、それだけ内容が難しくなってきて、授業内容を理解できる人と理解できない人に分かれるということだ。小学生の頃は特に明確に分ける目的を言われなかったけれど今ならわかる。
当時は仲の良い友達が一番上のクラスになって、クラスが分かれてしまったことが寂しかった。

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中学生になり、算数が数学になったら私の理解度は上がったかといえば、残念ながら違う。 私は数学も苦手に感じた。

授業で数式の定理を習っても応用できず、定期テストでは何とか赤点を取らないぐらいの点数しか取れなかった。

授業についていくのも大変だし、宿題で問題を解くのも一苦労だ。
分からないから面白くも感じられないし好きにもなれなかった。
ここから数学が得意になる道は見えなかった。そして、数学が苦手な自分をコンプレックスに感じていた。

また別の理系科目の理科では、科学と物理が数学が絡んでくるのでどうしても理解ができなかった。
高校生になると範囲も難しくなり、理系の人は楽しんで授業を受けていたが、何が面白いのか全く分からず苦痛だった。
高校1年生まで理系科目の化学と物理を履修したが、理系の人と一緒のテストを受けたため、成績が良くなかった。

一方、文系科目はどうだったかというと、 国語であればテストで満点をとったことがある。 英語は最初全く分からなかったが、授業を経て好きになった。
社会は自分の生活に直結することであったり、日本や世界の文化や歴史を学ぶため、知的興奮が得られる科目だと思って、苦手意識はなかった。

この時点で、私が将来文系に進むのか、理系に進むのかおのずと決まっていたように思う。

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しかし全ての理系科目が嫌いだったかというと、理科の中でも生物と地学は好きだった。
生物は小学校でやっていた生活や理科に近かったし、植物や動物が好きだったので、特に苦手意識を感じなかった。

また地学に関しては、歴史と近いところもあり、楽しんで授業を受けることができた。しかし、内容が進むにつれ、生物や地学にも化学や物理分野が絡んできて、授業内容の全てを理解することが難しくなった。
純粋に学びたいという気持ちだけで乗り切ることは難しいと感じた瞬間だった。
地学に関しては、大学時代の一般教養の授業を受講したことで、より深い内容を知ることができた。
高校までの内容より難しかったが、「自分が興味あることを勉強している」という思いのもと、教授に質問したり、調べ物をしたりすることによって、最終的には一番上の評価をもらうことができた。
理系の中でも自分の興味があることについて、1つやり遂げたと思えるものができた。

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今の私の仕事では、理系の人と関わることがたくさんある。
理系の人は研究室に所属して自分の専門分野を深掘りし、専門分野と呼べるものを持っていて、カッコいいなと思う。
多くの手に職があると言われるタイプの仕事は理系のものが多く、理系職には文系は応募できないという制限があったりなどするため、今でも私も理系だったら職種の幅が広がったかなと思うこともある。