最近、ある物をはじめて口にした。それはハーブティー。カフェインレスのハーブティーを寝る前に飲むとリラックスできて良いということを知り、前から興味があった。そして先月、かがみよかがみさんから謝礼を初めていただいた記念に、買ってみることにしたのだ。 

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飲んでみた感想は、「ちょっとクセが強いかなあ」。
ハーブティー独特の風味というのだろうか。苦いとも渋いとも言えない、今まで味わったことのない味に「うーん」と唸った。牛乳を注いだり、蜂蜜を足したりしたけれど味に大きな変化はなく。

まあこういうもんか、と思いながらしばらく飲み続けた。それから1週間ほど経った頃、私は本屋さんで以前から目をつけていたエッセイ本を手に取った。本のタイトルは『そして生活はつづく』。著者は歌手の星野源さん。私の推しである。

その日の夜は、彼のエッセイを読みながらハーブティーを飲むことにした。2、3口くらい啜った後、「やっぱり癖が強くてちょっと飲みにくいなあ」と思った。

そんなことを思いながらも、本のページをペラペラとめくる。だんだん源さんの文章に惹き込まれて、リビングのエアコンの音や夫がカチカチとゲームをしている音が耳に入らなくなってくる。

ページをペラリ、ペラリとめくる。マグカップを口元に運ぶ。めくる。飲む。めくる。飲む。

ふと時計を見上げると、23時。読み始めてから2時間経っていた。マグカップの中に入ったハーブティーは空になっている。おお、飲めた。飲めたぞ。  

ハーブティーのエグ味がまだ舌の上にほんのり残っている。爽やかな風味が鼻に抜けていい香りだ。「やっぱりハーブティーはいいな」と思えた。そして本も半分まで読み進められている。ダブルでえらい。

しかも2時間も読書したおかげで体力がもう限界だ。これは秒で寝落ちるぞ。私は入眠するのが苦手で、いつも2時間は布団の中でもんもんと過ごしてしまうのが小さな悩みだ。なので今日みたいな日はうれしい。

あと何よりも、源さんの綴る文章のおもしろさが最高である。彼の控えめな人柄の隙間に見え隠れする独特のユーモアが私のツボに刺さって心躍る。好きだ。あーおもしろかった。「良い夜だなあ」としみじみ思った。

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お気に入りのスヌーピーのマグカップを片手に、ふかふかのソファで、大好きな星野源さんの本を読む。寝室では大好きな夫がひと足早く寝息を立てている。静かで穏やかで豊かな夜。こんな日が続けば、死ぬ間際に「良い人生だった!」と自信を持って言えるのではないだろうか。

普段はというと、仕事から帰って夕飯を食べてお風呂に入って、Amazonプライムで映画を流しながらSNSやYouTubeを見る。元気がある時はペン字や読書や朗読をするが、精神的にも肉体的にもそれほど体力のある方ではないので基本的には前者の過ごし方が多い。

本当はもっと有意義な時間の使い方をしたい。したいしたいと言いながら、なかなか腰をあげないのが私の残念なところだ。けれど、そんな事を考えて自分をチクチクと責めるのも良くないし。根を詰めすぎず、怠惰になりすぎず、ちょうどいいバランスで生活していくことが私の人生の課題かもしれない。

毎日が今日みたいな夜ならなあ。いや、こうならな。じゃなくて、やろう。是非やろう。毎日は難しくても2週間に一回から始めてみるとか。どうだろう。ちょっとずつでいいからアップデートしていこう。

かがみよかがみさんとハーブティーと星野源さんのおかけです。ありがとうございます。私はこれからもハーブティーをマグカップに注ぐ夜を続けていく。