わたしが笑顔でいることがこんなに大切だったなんて。
夏は子どもたちとのキャンプの季節だ。自然体験の仕事をしているので、学校が夏休みである夏が1年でいちばんの繁忙期である。

わたしの勤めている施設では1週間のキャンプを全部で5週間行う。土曜日に来て、金曜日に帰る。そして土曜日には次の子たちが来る。これを5週間繰り返す。

一言で言うと、とてつもない。1週間はじめましての子どもたち20人と生活する。カオスである。もちろんホームシックで泣き出す子もいるし、途中で喧嘩も起こる。いいことばっかではない。

それでも子どもたちと手を取り合って、一緒につくりあげる1週間はとてもあたたかくて、輝かしい忘れられない1週間になるのだ。

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週ごとにキャンプ長となって、子どもたちの先頭に立ち、キャンプをコーディネートしていくスタッフがいる。わたしもある週のキャンプ長となり、1週間のキャンプを行った。

わたしが担当した週は小学校高学年から中学生までの9人と過ごす、食に特化した1週間。どんなテーマで行うか、食とどう触れ合うか、どんなコンテンツにするか、試行錯誤しながら決めたプランでいざキャンプスタート。

子どもたちと一緒になって楽しむ、つくりあげる、この感覚がすごく楽しい。

だが楽しいが先走り、スタートダッシュを決めすぎてしまった。3日目あたりから失速し、疲労困憊。ペース配分に失敗した、と思いながらなんとか頑張るが、気づけば笑顔が消えている。

そんなわたしの様子を見かねた子どもたちが、「雲和が全然笑ってない!初日の目の輝きがない」「雲和が笑うとみんなも楽しくなるから、笑ってほしい!雲和が笑ってないとみんなも楽しくないから!」と次々に声をかけてくれる。さらには「やることあればなんでも手伝うから言って。助けるから!」とまで言ってくれる子もいて、子どもたちのあたたかな心遣いに心の中で大号泣。

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そこまで言われたら笑顔になっていようと、次の日には笑顔になることを意識して過ごす。毎日、夜に振り返りの時間があるのだが、その日の振り返りノートに「雲和が笑顔になった」って書いてくれている子もいる。

子どもたちの優しさに感動しつつ、驚く。わたしはこんな風に子どもたちに思ってもらえるような関わり方ができていたのか。わたしが笑うということがこんなにも大きな力を持っていたのか、と。

以前先輩から「雲和には人を巻き込んでいく力がある。それが強みだと思う」と言われたことがあった。この言葉が、すごく実感としてわたしの中にストンと落ちた。

もしかしたら、キャンプ長として、大人としての関わりだけではなく、子どもたちと同じ目線に立って、同じように楽しんで、子どもたちを巻き込み一緒になってキャンプをつくることができていたのではないか。だからこそ子どもたちがわたしが疲れているときに力になりたいと思ってくれたのではないか。

これはただの仮説でしかないし、自分のいいように解釈しているだけかもしれない。それでも子供達が気づかせてくれた人を巻き込む力と笑顔という武器を手に、この夏も子どもたちと最高の思い出をつくりあげていこうと思う。