「あなたは何でこんなことができないの?」
社会人になってから何度もこの言葉を聞かされ、そのたびに自分には何も得意なことがない、何もできない存在だと感じていました。失敗するたびにこの言葉が耳にこびりつき、特技もなく、何もできない自分が浮かび上がりました。
臨機応変な対応が苦手で、すぐにテンパり、人前で話すことも苦手。苦手なことがあまりにも多すぎて、この先どうやって生きていけばいいのか、当時は不安に押しつぶされそうでした。
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その結果、私は鬱を患い、実家に戻ってしばらく仕事をしない期間を過ごしました。そんな私を支えてくれたのは母でした。母は私に家事を教えてくれながら、「大丈夫、最初はみんなできないけど、毎日やればできるようになるよ」と優しく声をかけ続けてくれました。
最初は半信半疑でしたが、1ヶ月もすると私は料理以外の家事全般をこなせるようになりました。それまで苦手だと思っていた整理整頓も、やってみると逆に得意になりました。この経験を通じて、ただ苦手だと思い込んでいただけで、やればできることもあるのだと自信を持つようになりました。
その自信が私を変えました。新しいことに挑戦する勇気が湧き、あれほど嫌悪していた運動にも挑戦することにしました。今では毎日ジムに通い、最初は戸惑いと苦痛ばかりだった運動も、次第に楽しみと達成感に変わっていきました。
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今では、かつて自分が「できない」と思い込んでいたことに積極的に挑戦するようになりました。失敗することもありますが、その度に「やればできる」という母の言葉を思い出し、少しずつ成長しています。
私が学んだのは、苦手なことがあっても、それが永遠にできないわけではないということです。挑戦し続けることで、自分の可能性を広げることができる。そして、何よりも大切なのは、自分を信じること。どんなに小さな一歩でも、前に進むことが大切だということを、私は実感しています。
母の支えと実家での生活が、私にとっての転機となりました。社会人としての挫折から立ち直る過程で、家事や整理整頓といった一見地味な作業が、私の自信を取り戻すきっかけとなったのです。母の「毎日やればできるようになる」という言葉は、私の心に深く刻まれ、その後の私の行動に大きな影響を与えました。
一歩一歩前進することの大切さを学び、新しい挑戦に対する恐れを克服することができました。ジムでの運動もその一例です。最初は戸惑いや苦痛を感じながらも、毎日の積み重ねが次第に楽しみと達成感に変わり、今では運動が私の日常の一部となっています。
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このエッセイを通じて、同じように自己不信に悩んでいる人たちに、少しでも希望と勇気を届けられることを願っています。自分を信じること、挑戦し続けること、その先にある成長と喜びを実感してほしいと心から思います。