昔、SNSを通して心を踊らせたことがあった。相手は中学までの同級生で、久しぶりにメッセージが来たことから始まる。
当時、SNSは推し活をするためのアカウントとして持っていた。自分のことを発信するのではなく、推し活で友人とつながり、界隈を知っていくためのツールとして。もちろん同級生やまわりの友人にも同じ推しを持っている人はいたが、知り合いのフォローは徹底して避けていた。あくまでもオンラインでつながる友人と楽しむ世界を作っていたのだ。

しかし、とある日のDMで状況が一気に変わった。

「これってあなたのアカウントだよね?」

別のSNSアカウントに送られてきたメッセージ。同級生の男子から送られてきたメッセージだった。ドキッとした。

顔写真は載せていないはずだが、なぜわかったのだろうか。お互い知らないままフォローをしており、違和感があったために送られてきたのだろうと推察する。

動揺している一方で、ここまで来たら隠すことでもないと思ったので、正直に白状することにした。そこから少しだけやり取りがあり、しばらく会話が続けられた。

このとき、過去にほんの少し湧いた感情の答え合わせをすることになる。

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中学生のころ、友人からのからかいで彼のことが好きなのかと聞かれたことがあった。いきなりだったので動揺して、はっきりと否定をしないまま濁したことが心残りだった。

だが、どうして濁したのだろうと考えたとき、もしかすると好きという気持ちがあったのではないかという考えがよぎった。形になった訳ではない。そのあとなにか進展があったわけでもない。それでも自分の中にある可能性としては0ではないことに気付いた。

できれば完全に否定したかった気持ちだが、首を大きく振って否定できない事実に頭を悩ませた。当時はそれ以降友人がからかうこともなく、自分の気持ちもどこかへ流れていったため終了。気持ちに無理やり蓋をすることもなく、自然消滅した。

何年も経って久しぶりに話をした私たち。勝手に自分の気持ちを思い返し、メッセージのやりとりにドキドキしていた。メッセージが来ると妙に意識をしてしまい、あのときの気持ちをいまさら盛り上げていた。

答え合わせをした結果、あのとき確かに好意を抱いていたとわかった。相手の性格を思うと、付き合っていた確率は0だが、自分の気持ちを伝えていた世界線がもしかすると存在したかもしれない。

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その後、頼み事をしていたため相手と会うことになった。お互いが知っている場所で待ち合わせをした。卒業してから初めて会うので、緊張しながら、あのときの気持ちを思い出してドキドキしながらその時を待った。

会ったとき、もう少し話したくて昔の話を投げかけてみた。相手はきっと、すぐに帰るはずだったであろう。私が引き止めてしまい、迷惑に思われたかもしれない。好きという気持ちを全面に出さず、少しでも長くいてもらえる方法を探した。

さすがに長く引き止めてしまったので、話が一区切りついたところで帰ることにしたが、帰り道も心はドキドキしていた。

彼とはそれ以来会うことはなかった。今もどこで何をやっているのか知らないが、きっとあの時と変わらないところはあるだろう。今会ったとしても何も話すことはなく、あのときの感情は終わらせているのでぶり返さない自信がある。

ただ、少し長くてブランクのある片思いはいい思い出だ。1人の相手に2度も思いを巡らせることがあったのだから。

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今後、別の人に自分がきゅんとすることはあるのだろうか。現実世界でまたキュンとしたときには、ここで綴ってみよう。

でも、どちらかというと、これからは恋人をきゅんとさせたい思いもある。どれだけ私を好きになってもらえるか、ときめいてもらえるか。楽しんでいるところもあるけれど、やってみたい。

これもまた、いつか綴るときが来るだろうか。想像してみるとちょっとおもしろそうなので、これからに期待しよう。