人として生まれてきた以上、男性も女性も関係なく、本来ならば同じ「人」なんだろうけれど、私はどうもそうとは思えない。私は女性だけれど、男性として生まれてくるか、女性として生まれてくるかによって、この先どんな人生を送ることになるか、大きく違ってくると思う。

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私は日本でしか暮らしたことがないけれど、日々の生活において、男性か女性かを認識する機会は、これまで度々あったと思う。例えば、小学校に入学する時に買ってもらったランドセル。私が小学校1年生の頃といえば、約20年前。ランドセルの色は男の子が黒色で女の子は赤色がメジャーだった。

私も自分のランドセルを買う時、何の迷いもなく赤色のランドセルを選んだ。当時、例えば、オレンジ色や水色といったランドセルがあったかどうか定かでないが、もしあったにしろ、赤色以外のランドセルを買おうという発想は全くなかった。私が考えていたことは、赤色を買うにしてもどんな赤色のランドセルを買うかということだった。入学してみると、女の子は落ち着いた赤色のランドセルを背負っている子が圧倒的に多かった。ちなみに、私が選んだのはほんの少しだけピンクよりの赤色。赤色に変わりはないが、やや明るい感じで気に入っていた。私と同じような系統の赤色のランドセルを背負っていた子はいなかったけれど、気にならなかった。それは、少し系統は違えど、自分も皆と同じ赤色のランドセルを背負っていることに変わりはないという安心感があったからだ。

一方、男の子は大半が黒色のランドセルを背負っていた。クラスに一人、青色のランドセルを背負っている子がいたかいないかといった具合。私が小学生の頃はランドセルにおいて色選びという概念はほぼなかったと言っても過言ではない。今の時代はどうだろうか。この風潮は変わっていないのだろうか。それとも、赤色や黒色以外のランドセルを背負っている子も増えているのだろうか。

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ランドセルを例に挙げたけれど、私の中でなんとなく男性といえば黒色か青色、女性といえば赤色がぱっと思い浮かぶ。実際、公共のトイレにしても、男性用のトイレと女性用のトイレで色分けがされているケースも多い。そのような場合、私の中で女性トイレは赤色のイメージが強い。しかし、この認識が覆されたことは一度もない気がする。どうやら私の認識はごく普遍的なもののようだ。男女を色で表す時の固定概念的なものが染みついていると言えそうだ。

けれど、小学生の頃から20年。この20年の間に変化したこともありそうだ。例えば、一昔前は男性が化粧をする風潮は今ほど主流ではなかったと思うが、今や男性アイドルが化粧品をプロデュースする時代である。これは大きな変化だと感じる。女性だけでなく男性も化粧をして良いのだという認識をそっと持たせてくれる気がする。夏場の日傘だって女性だけでなく、男性が使用するケースも見かけたことがある。以前に比べて、美容において男女間の垣根が少しずつ低くなってきているのでは?と思う。

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映画館も同じように変化していると思う。一昔前はレディースデイというものが当たり前のようにあった。私は女性の立場として映画を安く見ることができてありがたいけれど、男性の立場としてはどう思っているのだろうと不思議に感じていた。しかし、いくつかの映画館を調べてみると、レディースデイがなくなり、毎週決まった曜日に皆が安く映画を見られるというスタイルに変化しているようだ。これに関して、私はすごく良いことだと思う。男性も女性も皆が安く映画を見られる。願ったりかなったりではないか。

色々と例を挙げたけれど、男性であるか女性であるか、特定の分野ではあまり違いがなくなってきつつあるけれど、まだまだ違いが生じて来るケースも多々ありそうだ。私が生きてきた間にも随分、良いように変化してきたと思う。これからもっともっと、男性も女性も皆がより一層平等に生きやすい世の中になって欲しいと願うばかりだ。