四年前、コロナの真っ只中にあった秋のことだ。わたしは大学三年生で、行動が制限されるばかりの日々に苛立ちを募らせていた。
大学はオンライン授業ばかりで、部活動も制限されていた。
友達は大して多くなく、恋人もいなかったわたしにとって、部屋に籠もりきりの毎日は絶望でしかなかった。
わたしは、何かをやっていないと気が済まない、具体的な行動を起こしていないと生きていると思えないような人間だから、外へ出るなとか人と会うなとか言われることが苦痛でしょうがなかった。

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わたしが唯一生きがいとしていた部活動も、ミーティング以外の活動はゼロで部員もやる気なし。当時の鬱々とした空気は世間全体に蔓延っていたもので、決して彼らが悪いわけではないのに、彼らに対して暴言を吐かずにはいられなかった。

結局、それをきっかけに仲違いをし、わたしは泣き続けた。歯を食いしばりながら泣き続けたせいで、しばらく歯が痛かった。
やるせなくて悔しくて、買い物に行く時に道端でふと泣いてしまったり、夢の中で泣くことも少なくなかった。気を紛らわせるために色んなことをしたけれど、その場しのぎの鎮痛剤にしかならなかった。

何事も諦めず最後までやることを信条としているわたしにとって、あの秋、途中で部活を投げ出し、同級生との縁を無理やり断ち切ったことは、この四年間ずっと心残りだった。

四年の間に新しい出会いがどれだけやってきても、中途半端に切った縁を忘れることはできなかった。

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社会人になってもあの日のことを思い出さない日はなかった。やめるならちゃんとお別れしたかった、仲が良かったんだからあんなこと言わなきゃよかった、彼らとの縁はずっと続くものだと思っていた……とか考えていた。

そんな折、好きな芸能人のエッセイ本を手に取った。「大人になればなるほど、友達はいとも簡単に減っていく。人間関係を断ち切るのは容易いことだけど、最後に虚しくなるのは自分。仲良くし続けたい人がいるなら自分から声をかけなきゃだめだよ」みたいなことが書いてあった。

それから、勇気を出しておそるおそる当時の部活の友達にDMを送ってみた。一時間経過しても返事が来ず、二時間、三時間と待ち続けた。翌日のお昼、ようやく返事が届いた。
「また会いたいと思っていたよ!」というメッセージだった。
嬉しくてたまらなかった。四年間晴れない気持ちで過ごしていたわたしは思いがけない返事につい心が躍ってしまった。

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ちょっと勇気を振り絞るだけでまた友達になれるのか、そっか、またあの時みたいに話すことができるんだ… …うれしいなぁ。

この出来事以降、中学や高校の友達ともできるだけ会うようになった。仕事ばかりしていると、なぜだか一人で生きているって思いがちだけど、わたしってこれまで色んな人に出会ってきたんだ。そんな気持ちで最近は過ごしている。

これからの出会いも過去の出会いも、一つひとつ胸に留めて生きたいな、と思う秋だった。