葉っぱが赤く色づきヒラヒラと落ちるそんな秋には、私にとって特別な思い出がある。
当時高校の制服を着ていた私には、周りに見せたくない傷跡があった。

かゆい

乾燥が始まる秋。ボリボリと足をかいてしまいじんわりと靴下に血が滲んでゆく。
私の肌は弱く、アトピー肌と呼ばれるようなかぶれや掻き傷が関節を中心に広がっていた。

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周囲の友達の足はまっさらで、生足で夏をすごしていたが、自分は冷え性だからと嘘をつき、ハイソックスを履いたり湿布を貼って傷を誤魔化していた。
夏には秋までに絶対に治したい」と思っていたが、傷の治りも遅く跡に残ってしまう事を分かっているのに、痒みに負けてかいてしまうことを繰り返しとうとう秋になってしまった。

オシャレな服を着たり見たりするのが大好きだった私は、血が着いてしまった靴下を見て涙を滲ませた。
可愛い服も、誤魔化し誤魔化し着るしかない。
隠して誤魔化して、そんな風にするしかない自分が嫌で嫌で傷つくばかりだった。

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みんなの秋は、ベタベタと汗をかく不快な夏におさらばして、可愛いお洋服が重ね着できるそんな季節。茶や紺のカーディガンを羽織って素敵な秋をめいっぱい楽しむ、そんな姿が素敵だった。

私はどうだろう?タンスを開けるとすぐ目に入るのは、夏からどんどん増えてしまった足を隠すためのニーハイ。オシャレで履いている子のそれは足が引き締まって見えるし可愛くて、ず~っと見ていられるのに、自分は生足が出せないからと履いていたせいで目を背けるしかなくなっていた。

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なにか、なにかないのか!
頭を抱えていたそんなある日、母親が黒のストッキングを履いていた。
30デニールのうっすら足が透けて見えるくらい薄手のものだった。

それを見た時に、これならば傷を見せずに自分もオシャレをする事ができるのではと思い、走って買いに行った。

買ってきて履くと暗い色の為か傷が目立たず、尚且つ靴下より蒸れずに痒くならない。
これは、いいかもしれない!と嬉しくなり久々に明るい気持ちになった。

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汚い足だけど、これならオシャレできるかも。と翌日、学校に履いていく。
すると足が細く見える!透け感がかわいい!など友人からも好評をいただき、翌々日にはクラスメイトたちの間で黒のストッキングがプチ流行をしはじめた。

いつもニーハイを履いているのに、ストッキングめずらしいねと普段話さないような子からも声をかけられて話すきっかけにもなった。

足を褒めてもらえる事が増え自分にも自信がついた頃、ニーハイを止めて蒸れなくなったお陰か少しずつ傷も良くなり、生足を出せるくらいまで綺麗になっていた。

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傷ついて、オシャレもできず私にはニーハイしかないと隠し続けた夏から1歩踏み出したお陰でオシャレもでき傷もよくなり万々歳。
私にとって秋とストッキングの出会いは最高だった。

今では綺麗に治った足に、自分の意思でニーハイにストッキングオシャレをして楽しい秋を過ごしている。
皆さんも秋にはぜひ、オシャレを楽しみましょうね。