わたしは太っている。もちろんたぷんとした二重あごを持っている。
お腹は妊婦さんのようで、おめでたい雰囲気だ。
二の腕はほぼスライムのようで、くせになる触り心地だ。
スカートから出るふくらはぎが大根のようだし。わたしは野菜の妖精か。

なぜみんなあんなに痩せてるのだろう。すれ違う女の子全員モデルのように細い。
可愛いな……。

◎          ◎

子どもの時は、太っているといじられたりして辛かった。大人になった今でも、なんとなく「だらしないわね」と圧を感じることもあるけど、大っぴらに「デブ、ブタ」とか言われることはない。ストレスは減ったが、それでも痩せなきゃ……と追い込まれることが多かった。太っている自分は、別に嫌いじゃないけど……他人から蔑まれる体型は嫌いだ。

他人からの評価の為に、自分の体型を必死に努力して変えなきゃいけないのか……。

身を削るってまさにこのこと?これって適切な努力なの?
悔しいなあ。太った自分を愛してはいけない気がして今まで何度も泣いた。

ぽちゃ可愛いというジャンルを渡辺直美さんが切り開いて下さり、わたしはその後に続き堂々とこのわがままボディを日の下に晒している。
渡辺直美さんに足向けて寝れないな。アメリカってどっちの方角だっけ?とりあえずそちらに向かって拝みたい。
渡辺直美さんは今までバカにされがちだったふくよかな女の子達の救いの星だ。世に出てきてくれてありがとう。これからも全力で応援致します。

◎          ◎

わたしに適切な効果音は、「ぽちゃァァァ!」だ。お正月の鏡餅にも似ている。車に乗車している時によく揺れる姿はさながらプリンだ。手でピースを作り「カニクリームコロッケ!!」と叫ぶ持ちネタもある。

しかしこれらは決して卑下しているわけではなく、むしろ自慢。チャームポイントを述べているだけだ。ぽちゃっとしていることを引け目に感じることはない。だが健康的に痩せててシュッとした女の子の方が世間体は抜群に良いし、見ていて美しいとも感じる。

わたしは人の目をかなり気にする。
本当は電車の座席に座りたいが、2人分の面積を消費してしまう自覚はあるので混みだしたら座れるタイミングがあっても遠慮する。「邪魔なんだよデブ」と思われそうでこわい。なんなら直接言われるかもしれないし、舌打ちとかされちゃうかも。
自分が自分のぽちゃ体型を愛せるならそれでいいじゃん♪と思える屈強なメンタルをベッド横にぶら下げた靴下に入れてもらえるか、サンタクロースに直談判したいぐらいだ。

◎          ◎

わたしは自身のぽちゃ体型は気に入っているが、好きでぽちゃ体型になっているわけでもない。ごはんが美味しすぎて自然とここまで蓄えてしまった。ごはんを我慢して痩せて、それって幸せなの?と思っている。わたしは健康や美よりごはんを食べて得られる幸福を優先したのだ。
個人的には……ぽちゃ可愛いジャンルがもっと盛り上がって日本人のぽちゃ率が上がり、わたしのこのわがままボディも平均くらいになってくれないかなぁ……と、朝からタコライスを作って平らげた後考えてみている。