クリスマスは好きだ。街がキラキラ輝き、クリスマスソングが耳に入れば自然と気分が上がる。心がワクワクして、足取りも軽くなる。
気分が上がると思い出すクリスマスの思い出がある。
子供の頃通っていたダンス教室でクリスマスパーティーがあった。当時ビンゴのルールを知らなかった私はひたすら読まれる数の穴を開けており、とっくにビンゴになっていることに気づかなかった。ふと私の手元を見た母に「ビンゴになってるじゃん!」と言われたことで発覚し、トリプルビンゴのカードを片手に、景品を選んだ。可愛いキャラクターが描かれた大きな目覚まし時計は、枕元に置いて毎日眺めていた。
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そんな私だが、クリスマスの思い出は決して楽しいものばかりではない。私の家にサンタは来なかったからだ。
子供の頃、クリスマスイブに靴下を用意していたら、母から「サンタはいないよ」と一言。夢のない両親だった。妹など、クリスマスイブに夢を壊されて大泣きしていた。父はそんな妹の様子を見て、心の底から大爆笑していた。親として、人として信じられない。ちなみに三姉妹の長女である私の姉は、極度の人見知りだったため「知らないおじさんが家に入るなんて嫌だ」と大泣きし、サンタの物語そのものを拒否したらしい。そんな訳で我が家にサンタが来ることはなかった。
サンタが来ない代わりに、我が家には「ママサンタ」が来た。お菓子や漫画をもらった記憶がある。必ず手紙が添えてあって、「ママサンタより」と書いてあった。キッチンで朝食を用意するママサンタにお礼を言う照れ臭さは、もはやクリスマスの恒例だった。
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私も大人になり、もうママサンタは来ない。だが、恋人とささやかにクリスマスを祝うようになった。今の彼氏とは去年から付き合っているので、一度だけクリスマスを過ごした。夢の国と呼ばれるテーマパークに行き、お揃いのカチューシャで一日楽しみ尽くした。お城の前で写真を撮り、まるでプリンセスになったかのようだった。
今年のクリスマスはもう既に始まっている。同棲してから初めてのクリスマスなので、家で過ごす計画を立てている。ケーキは既に予約したし、プレゼントも買った。彼のことを考えながらプレゼントを選ぶのは、少しの不安もありつつ、ワクワクでいっぱいだった。今はクリスマスディナーを用意すべく、ネットで沢山レシピを調べている。
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いろんなクリスマスを過ごしてきた私だが、夢を壊された子供の頃のクリスマスに戻ってみたいと思うことはある。でも、あのクリスマスに戻るなら、どうするのが正解だったのだろうか。何度やり直したとしても、両親は子供の夢を壊すと思う。それにサンタが来ない代わりにママサンタが来てくれたのは嬉しかった。
これからは、彼と過ごすクリスマスを大事にしたい。結婚して子供が生まれたら、サンタが来る家にしたい。後悔のないように、沢山笑って過ごしたい。