私は、一目見てタイプだと思った人じゃないと恋愛対象にできないという謎のこだわりのせいで友達ばかり増えていき、恋人ができたことがないのはもちろん、好きな人でさえ片手で数えるほどしかできたことのない、恋愛経験0の女子大生です。

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そんな私でも、人生で一度だけ、忘れられないほど好きになった人が高校生の時に現れました。その人は、3年間同じクラスだった学校一のイケメンで、爽やかで優しくて男女関係なくみんなから好かれていて、例外なく私も彼のことが好きになりました。それも一目で。普段誰とでもべらべら話す私ですが、その人に対しては好きすぎて、うまく話すことが出来ずに、インスタだけ繋がったまま高校を卒業し、友達のような、知り合いのような関係で今まで過ごしてきました。

ある日、「私が髪を切った」と自分の写真をインスタのストーリーに挙げたところ、なんと一度もいいねしてくれたことがなかった彼がいいねをしてくれました。信じられず何度も見返し、現実だと分かった瞬間、喜びでぎゃあ!と叫びました。

その後、喜びのあまり両親に電話をし、両親の後押しで私から彼にDMすることになりました。素直に思ったことを伝えようと、「なんでいいねしてくれたの!?」とDMしたところ、帰ってきた返信は「かっこよかったからだよ」でした。私は嬉しさのあまり世界が輝いて見え、家の電球を見て「LEDってこんなにまぶしかったっけ?」と思いました。

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そのうえ、自分が世界最強だとも思いました。今まで共感できなかった恋愛ソングを夢中で聞いてしまったり、今まで聞く側だった恋バナにも話す側として積極的にネタ提供ができるようになったりと、自分の日常が少し彩られていく感覚がしました。その後、彼との連絡は続き、返信が来るたびに友達や家族と返信を考え合った結果、二人で会う約束までできました。

今まで恋愛に興味はあったけれど、こだわりのせいで恋愛は無理だろうなと諦めていたし、推し活で人生が充実していたため、そこまで恋愛に積極的ではなかったのですが、今回、自分から声をかけてみたことで、今までにない刺激を貰えて、推し活とは違う生きる活力が出たので、自分の素直な気持ちを言葉にして良かったなと思いました。

もし、今後もう一度、好きな人からのいいねがきたら、またその時思った自分の素直な気持ちを言葉にしたいと思います。なぜなら、恋愛しなくても人生は充実するけれど、恋愛をすることで世界がより明るく輝いて見えるという素敵な世界の見え方をもう一度得ることができるし、生きていてなかなか味わう機会がない「自分が世界最強と思える感覚」をもう一度味わいたいと思うからです。

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恋愛は私の人生において必要条件ではないけれど、十分条件ではあって、その条件が満たされることで、自分の世界が一味違うものになっていくところが面白いところだと思うので、今より少しきらきらした世界を見たいなと思った時は、思い切って自分の思ったことを言葉にした方が良いと思いました。