エッセイ投稿がZINE200冊販売に繋がる。書き続けることで前へ

文章を書くのがやめられない、と思ったのはいつだったろう。
高校くらいまでは、現代文は得意だったが読書感想文などでは大人にウケるものが書けないから自分は文章が下手なんだな、と思っていた気がする。
スマホを持った頃、Twitterが流行っていていくつもアカウントを作ってずっとタイムラインを眺めたり、ツイートしたり、バズったはてな匿名ダイアリーを読んだりしていた。周囲の影響で二次創作を始めて小説を書いていた時期もあった。
ブログは今までに何個作ったのか覚えていないけれど、舞台の感想を書くものが最初だったような気がする。
そのあと、最初に働いた職場で適応障害になって精神科に通い始め、似たような人をインターネットで探すうちに自分も薬の変化やら、家の環境を書くようになった。同じような環境の人、困っている人に届けばいいと思ってのことだった。
2018年頃に推しについて書くブログを始めて、そこからなぜかTwitterで繋がる人にライターをしている知り合いが増え、一度自分もライターになりたいと思った。
それで2020年頃に今はもうないサイトでいくつかエッセイを書いていた。
ライターを職業にするのは難しそうだと思い、非正規で働いたりしていた時、昔AKB好きだったな〜とYouTubeで峯岸みなみさんのチャンネルを見るようになった。峯岸みなみさんが禁酒などのコラムを書いていて、それで知ったのがかがみよかがみだった。
サイトを見ているうちにここでエッセイの応募ができるのか、と思って投稿を始め、いくつか掲載された頃にこれをまとめれば「ZINE(同人誌)を出したい」、という長年の小さな夢が叶えられるのでは?と気づいた。
それが2023年の夏で、10月の文学フリマ福岡に出展した。
これが、文章を書いた次にわたしを変えた出来事だった。
「一度なにかのイベントに売り手側として出たいな〜」とぼんやり思っていたことを実行したら、そのZINEは文学フリマ福岡で売り切れ、その後買ってくださった福岡の独立書店さんから「店に置かせてほしい」と声をかけてもらった。
売り切れているからもう一度刷らないといけない。増刷し、せっかくだからとほかのZINEを扱うお店の委託審査に出してみたらそれも通った。福岡のお店ではすぐに売り切れて、増補版を作ってかなりの量を印刷し、何度も「もう売り切れたんですか!」と返信しては何度も梱包して福岡へ送った。
そして2024年の文学フリマ大阪で、1冊目の後にかがみよかがみに掲載されたものをまとめた2冊目のZINEを出した。
福岡のお店──「本と羊」さんでは2024年に売れた本のベスト10に入った(2冊目を含めるともっと上位だそうだ)。ものすごく売れている他のZINEや商業出版の本を超えて、冊数として売れたという。いまだにちょっと信じられないけれど……。
2作合わせて200冊くらい刷って、もうそのほとんどがわたしの手元にはない。
つらつら文章を書くことが好き、ということが、かがみよかがみに投稿して採用されることで、自分の文章が「掲載していいレベル」なのだと手ごたえを覚えて投稿を続ける力になり、ZINEを出すことになり、自分の思っていた何倍も、何十倍も大きなことになった。
かがみよかがみを見つけた時、なんとなくでも1つ目のエッセイを投稿してよかったな、と本当に思う。
いつかISBNのついた本を出したいという、研究がしたかった頃の夢も、書き続ければいつか叶うかもしれない。
もう少しでかがみよかがみには投稿できなくなるけれど、どこかで書き続けていたいな、と思う。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。