意見を言うことが苦手な私が知った。言葉は人と人を繋ぐもの
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私は現在大学二年生の学生だ。今の私は、ありのままの自分を受け入れ、以前より自分の気持ちを相手に伝えることができるようになった。このような自分でいれるようになったのは、学生時代に入っていた部活動での経験がきっかけだ。
私は、学生時代から人見知りが激しく、仲のいい友達とは楽しく過ごせるが、大人数になると黙ってしまうような性格だった。
そんな私は学生時代、ダンス部に入っていた。当時の私は、純粋にダンスを踊ることが好きで、このような性格を変えたいという気持ちもあったことから、ダンス部に入ろうと決心した。
しかし、ダンス部に入っているというと、良く周りの人から驚かれ、教師から「それは自分の意思で入りたいと思ったの?」と言われた。当時の自分はそのような反応をされるたびに、自分はこの部活には似合わない存在だと傷つき自分を悲観的に見るようになった。
ダンス部に入り、仲のいい友達が出来たり、自分の好きなダンスを踊ることができ、充実した毎日を送れるようになった一方で、私がとても避けて通りたかったことがある。それは定期的に開かれる部活のミーティングである。
私は、自分の気持ちを相手に伝えるという行為が苦手だ。自分の気持ちを言うことで、周りから嫌われるんじゃないかという不安が当時の私にはあった。ミーティングの場になると、頭の中では意見やアイデアが浮かんでいるのに、いつも無口になってしまった。初めは、自分が何も言わなくてもミーティングは進み、このままでいいと思っていた。
しかし、学年が上がるごとにミーティングの回数は増え、一人一人が意見を出すことを求められた。そのため私はミーティングがあるたびに逃げ出したいと考えていた。
そんな時、とあるミーティングでダンス部のメンバーが私に、「いつも意見言わないでその場にいるだけなら、いる意味ない」と言う言葉をかけた。私は、その時矢で胸を射抜かれた気分だった。自分に対して思っていた言葉をいざ周りから言われると恥ずかしくて自分が情けなかった。その時、少しの勇気さえあれば、もっと話し合いの場に参加できたのではないかと後悔した。
そんな自分が変わるきっかけとなったのは、私が後輩のグループの曲の担当を任されたことがきっかけだった。文化祭に向け、ミーティングが行われる中、私は勇気を出して自分の意見を口にした。「今回の後輩のグループの曲をロックを取り入れた構成にしてみようと思うんだけど、どうかな?」少し緊張したが、私が考えていた負の反応とは違ったものが返ってきた。
「すごくいいアイデアだよ、よく考えたね」と私の意見を肯定してくれたのだ。
その後、文化祭では自分たちで作り上げた公演が成功を収め、観客からも好評を得た。そして、それ以上に大きかったのは、部員の結束が強まったことである。私が意見を言うようになったことで、より密接に交流することができ、自分が恐れていたミーティングの場が部員一人一人との距離を縮めてくれた。
初めは、自分の意見は言わなくてもいいと思っていたけれど、言葉が人を結び、関係性を変える力があるということを実感した。
しかし、言葉にすることは難しさもあった。相手に意見を伝えようとする気持ちは大事だけれど、自分の意見を相手に押し付けることで問題が生じることもあった。
言葉にすることは、とても勇気のいることで自分の想いを相手に伝えることは難しい。しかし、言葉にすることで相手の考えを知り、自分の考えを深めることができるだけでなく、相手に伝えようとする姿勢が人と人とを繋ぐということをこの経験を通して学んだ。伝え方を間違えると対立や誤解が生じるが、言葉は人と人を結び付けるものだと私は思う。
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