キャッシュレスで生きる私が感じた危機感。それでもスマホ決済は楽だ
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キャッシュレスで生きている。
自粛生活の時に、現金を使うのをほぼやめた。理由としてはお会計が終わったとき、お釣りとレシートの受け取り方が分からなくなってしまったから。
店員さんのなかにはトレーに入れてくれる人と、そのまま手渡ししてくれる人がいる。手渡しかなと思い、受け取るために差し出した手が宙ぶらりんになるときがある。そのたびに「この店員さんはトレーに入れてくれる人だ」ということを覚えようとする。手渡しだと思って出した宙ぶらりんになった手が恥ずかしいから。
お釣りがトレーに来るものだと思って、待ち構えていたらしっかりと手に乗せてくれる店員さんもいる。どちらの店員さんも素敵だけれど、お釣りをもらおうとして手を出すか出さないかを、悩んでいる私はなかなか滑稽だと思う。
そんな姿を恥じてQRコード決済に移行した。
QRコード決済は現金を使うより便利な気がした。お釣りをもらわなくて済むし、レシートは店員さんが必要可否かを聞いてくれるので、手が宙ぶらりんになることがない。
今でこそだいぶ少なくなったけれど、QRコード決済が増えてきた頃、画面にスキャナーをタッチする店員さんがいた。そのたびに画面にスキャナーが当たるのが、とても微妙な気持ちになった。未だに店員さんによっては強めに画面に当てる方がいる。そのたびに画面の心配とスキャナーの心配をしてしまう。
画面の読み込みがとても難しいのだろうなというのは感じている。近所のスーパーでは一度で読み込みを成功させる人はあまり居ない。セルフレジでも左に傾けたり右に傾けたり試行錯誤しながら読み込んでいる。こちら側がQRコードを読み込んで支払うときも少し手間取ってしまう。こちらが読み取る側の場合、支払いができているのかドキドキしながら会計を済ましている。
ここ数年でQRコード決済を使えるお店がだいぶ増えた。持ち歩くのはスマホだけで済むので、とても便利。QRコード決済が使えなくてもタッチ決済もある。スマホ1台で買い物が済むのは楽でいい。
と思っていた。
先日欲しかったものを嬉々としてレジに持っていった。とても欲しかったものなので、きっと見るからに喜んでいたのだろう。意気揚々と決済をしようと「QRコード決済で」と伝えると使えないと言われた。それならばと、タッチ決済をと伝えたがそれも使えないとのこと。そのお店自体チェーン店で他店舗でも使えていたのでとても驚いた。
とても悲しいことに現金の手持ちがなく困ってしまった。そのお店には友人と来ていたので、友人に現金を借りようと探したが目につくところにいなかった。店員さんをちらりと覗くと「取置しておきましょうか」と優しく声をかけてくれた。その優しさに甘えて友人を探しに出た。すぐに友人が見つかって現金決済ができた。店員さんは優しく「よかったですね」と声をかけてくれてとても嬉しかった。
別の日には地下にあるお店での支払いで、スマホの電波がとても弱くQRコードの表示に時間がかかった。そのお店のWi-Fiに繋がせてもらって無事支払いが出来たが、QRコードの表示まで時間がかかり店員さんととても気まずかった。
ここ数年キャッシュレス決済を使うことで、現金を持ち合わせていないという事にあまり不便を感じることは無かった。けれども現金を持ち合わせていないことによって困ることがたまにある。
そのたびにキャッシュレス生活に対して少し危機感を持つようになった。小銭だけでも少し持っておくと安心かもしれないとも思ったりする。私にはまだまだキャッシュレス生活は早かったかもしれない。
けれど今日もキャッシュレス決済をしている。スマホ1台で物が買えるのがとても便利だから。
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