消えかかった笑顔の魔法。取り戻すのに必要だったのは言葉への信頼

2025/02/17

自分の気持ちを言葉にしてよかったことは、自分の幸せを恐れなくなってきたことです。
私は落ち込みやすい性格であるためか、どうも落ち込んだ出来事を記憶することが得意なようで、私の人生の主役だと主張してくるカラフルな落ち込みたちの影でよく泣いていました。

幸せな「これから」のために。貯金はほどほどに「今」お金を使おう

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両親の離婚や母方の祖父が昔ながらの亭主関白でよく怒鳴っていたこと、家族が精神的な疲労から精神疾患の療養をしていたこと、高校生の時に自律神経の持病から思うように学生生活を送れなかったこと、男性から怖いことをされた出来事など様々でした。

しかし、私は自分を不幸だと思ったことはなく、明るい子でした。秘密は笑顔の魔法です。

それは、記憶も曖昧になるほど幼い頃に「あなたの笑顔を見ると幸せな気持ちになれる」と言われたことがきっかけで、笑顔を絶やさないように、明るくいるように心がけるように変わったことでした。その言葉は、母や周りの人が泣いていると悲しくなってしまう泣き虫な私にとって泣きたくなるくらい嬉しい言葉であったことを覚えています。

言葉よりも笑顔を、自分の本音よりも周囲の期待を大切にするようになりました。しかし、年を重ねるにつれて笑顔が手放せなくなってしまいました。笑顔で人と人とをつなぎ、場を和ませ、皆の幸せを願ってきたことで、自分の本音と向きあう方法も自分の幸せを受け入れる勇気の出し方も分からなくなってしまったのです。私の中で笑顔の魔法は消えかかっていました。

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大学生になりさらに自分の在り方について悩んでいる中、一番好きな季節に恋人が出来ました。大学二年生の秋です。彼がどんな人なのかと考えると、文字を書いている今も笑みがこぼれるくらい一緒にいて笑顔が絶えない人です。

また、彼は変わった人でもありました。私の行動や服装、食べたものなどよく観察していて覚えているようです。私の性格もよく知ろうとしてくれていて、言葉と気持ちが裏腹になりやすいところや心に余裕がなくなると人とのコミュニケーションを断とうとするところなどを理解して、寄り添ってくれました。

言葉だけでは本音を言わないから、表情や仕草、間の取り方など私が表現する全てを「言葉」として受け取って話をしてくれる人でした。周囲からの期待と自分の本音のギャップに傷つくことも、幸せを受け入れることで自分は幸せなはずなのに落ち込むのは何故なのだろうと疑ってしまうことも恐れている私でしたが、彼と接するうちに「自分の言葉」を伝えたくなりました。

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言葉の重さは想像以上で初めは大変でした。映画館でしか人前で泣かない私が、週に一回は泣いているような日々が半年ほど続きました。それでも彼は話を聞き続けてくれました。今日食べた美味しいご飯の話から、自分が怯えているトラウマの話など、たくさんの話をしました。彼はよく好きという言葉や将来家族になりたいという意思を伝えてくれます。

私にとって夫婦は脆く幸せとは程遠いような存在で、結婚や出産をしなくても幸せになれる時代にわざわざする必要があるのかな？と引っ掛かっていました。しかし、言葉を交わしていくうちに、これから先も彼と一緒にいる自分の姿を思い描けるようになってきました。

未来を叶えていきたいと思いました。私が幸せを克服した瞬間だったと思います。「私でもあなたと家族になれるかな」と伝えた時に、私の気持ちが以前と違うものだと感じた彼は驚きながらも笑顔で「もちろん」と言ってくれました。自分の気持ちを自分の言葉で伝えたことは今でも泣きたくなるくらい嬉しくて暖かい思い出です。